サンクタム【3点/10点満点中_見ていてフラストレーションしか溜まらない】(ネタバレあり・感想)

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(2011年アメリカ)
探検隊がパプアニューギニアの巨大洞窟に入るが、そこに台風が襲来して洞窟が水没する。刻一刻と水位が上昇していく中で、探検隊は脱出を試みる。

3点/10点満点中 愚か者が事態を悪化させる映画

テクノロジー偏重の作品

ジェームズ・キャメロン監督のドキュメンタリー『エイリアンズ・オブ・ザ・ディープ』にダイバーとして参加していたアンドリュー・ワイトが洞窟に閉じ込められた実体験を元にしたフィクションであり、キャメロンもプロデューサーとして参加。『アバター』で使用したフュージョン3Dカメラシステムの改良版が撮影に使用されたというテクノロジー重視の作品であり、とにかく見せるということにこだわった内容であることから、『アバター』と同様に脚本は紋切り型に徹しています。

  • 溝のあった親子の和解劇
  • 命が助からないと決まった仲間との別れ
  • パーティ内での衝突
  • 自分だけ生き延びようとする悪者の存在

ただし問題はこのドラマが奇跡的なまでに面白くないことであり、紋切り型なら紋切り型で定型通りベタに盛り上がってくれればいいところを、そんな低いハードルすら越えられていないドラマにはとにかくフラストレーションが溜まりました。

親子の物語は機能不全

洞窟からの脱出劇が作品の縦糸とすると、探検家として世界中を飛び回っていて家庭を蔑ろにしていた父・フランクと、それに反発する息子・ジョシュの物語こそが作品の横糸だったのですが、この二人の物語は完全に機能不全を起こしています。

親子仲に亀裂を入れた象徴的なエピソードが何も提示されないために、ジョシュがなぜフランクに憤慨しているのかがよく分からず、反抗期の息子が父親に八つ当たりしているようにしか見えないというドラマのスタート時点から躓いているし、二人が克服すべき心情的ハードルが何なのかも分からないために、ドラマの方向性が一向に定まりません。そして、何きっかけなのかは分からないが「父さんはやっぱりすごいや」といつの間にか関係は完全修復されているし、二人のドラマからは何も感じるものがありませんでした。

頭の悪い奴が足を引っ張る展開

庵野秀明監督が「頭の悪い奴が足を引っ張る展開が嫌い」という趣旨の発言をしていましたが、本作のカールとヴィクトリアはまさに足を引っ張る頭の悪い奴の典型例です。

代案もないのに文句しか言わないし、素人なのに探検のプロであるフランクの指示にも従わない。彼らは取り乱した普通の人ポジションだったのかもしれませんが、「今は緊急事態である」という認識すら欠けた、ただ人災を起こさせたくて配置された血の通っていないキャラクターにしか見えませんでした。

その象徴的なエピソードが、たった一つの酸素ボンベをカールが持ち逃げするくだりであり、あの状況では素人のカールが一人で脱出経路を見つけることは不可能に等しく、プロであるフランクに従うことが自己の生存可能性を高める唯一の道だったのですから、カールがいかに利己的な人間であったにせよ、あんな行動など取るはずがありません。このような杜撰な展開は観るに堪えませんでした。

そういえば、ヨアン・グリフィズは『カリフォルニア・ダウン』でも自分の生存のみにこだわって他人を犠牲にし、天罰が下ったかのような死に方をする金持ち役をやってましたね。アメリカ人にはそういう風に見えてる人なんでしょうか。

フランクのプロフェッショナリズムのみが見どころ

唯一良かったのはフランクのプロフェッショナリズムであり、この点ばかりは本物の探検家が企画に参加していることの強みが表れています。

息子や素人達から冷徹と非難されようがただひとりパニックを起こさず平静を保ち続けている精神力や、命が助からないと決まった仲間を置いていくという判断、また自ら業を背負ってでも仲間の苦痛を取り除いてやる様などには、常人離れした熟練を感じさせられました。また、死人の潜水服を着たくないとゴネ出した時点でヴィクトリアは生存できない人間であるとして見切り、強制はしないから好きなようにしろ、ただし他人に迷惑をかけないようパーティの一番後ろを行けと言い出すくだりには、私がヴィクトリアに感じていた違和感を全部吐き出してくれたかのような爽快感がありました。

Sanctum
監督:アリスター・グリアソン
脚本:アンドリュー・ワイト、ジョン・ガービン
原案:アンドリュー・ワイト
製作、アンドリュー・ワイト、マイケル・フィンレイ
製作総指揮:ベン・ブラウニング、ジェームズ・キャメロン、ライアン・カバナー、マイケル・マー、ピーター・ローリンソン
音楽:デヴィッド・ハーシュフェルダー
撮影:ジュールズ・オロフリン
編集:マーク・ワーナー
製作会社:レラティビティ・メディア
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ(米)、東宝東和(日)
公開:2011年2月4日(米)、2011年9月16日(日)
上映時間:109分
製作国:オーストラリア、アメリカ合衆国

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