アトミック・ブロンド【6点/10点満点中_つまらない話が足を引っ張る】(ネタバレあり感想)

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6点/10点満点中

■監督はスタントマン出身

監督のデヴィッド・リーチはスタントマン・二班監督として多数のアクション映画に関わり、2014年の『ジョン・ウィック』のプロデュースおよび共同演出で一般にも名を知られるようになった人物です。スタントマン出身者が映画監督に転向するという例は意外と珍しいものではなく、古くは『キャノンボール』のハル・ニーダム、『スネーク・フライト』のデヴィッド・R・エリス、日本では『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』を皮切りにウルトラマン、仮面ライダー、スーパー戦隊の3大フランチャイズすべてを制覇した坂本浩一などの例があります。アクションが中心になる作品の場合、アクションの撮り方を熟知しているスタントマン出身者なら現場のコントロールがスムーズにいくことが監督業でも重宝される要因なのでしょうか。なおデヴィッド・リーチはティム・ミラー降板後の『デッドプール2』の監督にも就任しましたね。

■7分半のワンカットアクションは伝説レベル

そんなスタントマン出身者が監督ということでアクションには気合が入りまくりなのですが、とりわけ中盤における7分半に及ぶワンカットアクションは伝説レベルに達しています。この場面で特筆すべきはリアリティの追及の仕方であり、打撃は本当にヒットしているようにしか見えないし、通常のアクション映画にありがちな主人公が一発二発殴れば敵が失神してくれるようなお手軽な処理もありません。何度殴ってもむくむくと起き上がってくる敵と延々戦わねばならないのです。そして激しい格闘の中で主人公が疲労していく様も表現されており、これだけ凝った格闘にできたのはスタントマン出身監督ならではの視点だったと思います。

なお、ワンカットとは言うものの実際には約40カットを継ぎ目が分からないように精密に繋ぎ合わせたもの。ただしこれはズルをしているわけではなく、当初、監督は本当に7分半を長回しで撮ろうとしていたようですが、そこで問題になったのが特殊メイクでした。格闘が続けば当然キャラクターの顔や体には傷が付いていくはずで、特に本作は前述した通り敵がばったばったと倒れてくれるような非現実的な構成にしていないために俳優の顔に傷をつけていくということは重要だったのですが、長回しだとメイクができないという問題が発生したために、今の形に落ち着いたのだとか。

■無駄にややこしい話が足を引っ張っている

アクションが面白い映画は物語をシンプルに収めればいいと思うのですが、本作は異常にややこしいです。ジョン・ル・カレ作品の域に達するほどややこしい話なので、アクションで盛り上がった後には話を聞き洩らさないよう脳をフル回転させるという、何だか疲れる鑑賞となりました。ただしあまりに情報が込み入っているので、集中して見てもよく分からない箇所はいくつかありましたが。

潜入スパイのリストの争奪戦という単純な話にしてくれればいいものを、リストそのものとリストを丸暗記している生身の役人の両方が対象物となっているし、さらには怪しい動きをしている味方を監視するという付随任務まであったりで、今は何の目的で動いているのかということが感覚的に理解しづらくなっています。またその話が面白ければいいのですが、「味方の●●は敵に通じていました。いや、やっぱり味方でした」みたいなことを延々見せられるので途中からどうでも良くなってきます。騙し騙されはスパイ映画の醍醐味ではあるものの、本作はやりすぎて逆効果になっています。最後のドンデン返しなんて「お~、なるほど~」ではなく、「まだそんなことやってんの」って感じだったし。

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Atomic Blonde
監督:デヴィッド・リーチ
脚本:カート・ジョンスタッド
原作:アンソニー・ジョンストン&サム・ハート『The Coldest City』
製作:シャーリーズ・セロン、ベス・コノ、A・J・ディックス、ケリー・マコーミック、エリック・ギター、ピーター・シュウェリン
製作総指揮:ニック・マイヤー、マーク・シャバーグ、ジョー・ノーゼマック、スティーヴン・V・スカヴェリ、イーサン・スミス、デヴィッド・ギロッド、カート・ジョンスタッド
出演者:シャーリーズ・セロン、ジェームズ・マカヴォイ
音楽:タイラー・ベイツ
撮影:ジョナサン・セラ
編集:エリザベット・ロナルズドッティル
製作会社:デンヴァー・アンド・デリラ・プロダクションズ、クローズド・オン・マンデイズ・エンターテインメント、87イレヴン
配給:フォーカス・フィーチャーズ(米)、KADOKAWA(日)
公開:2017年7月28日(米)、2017年10月20日(日)
上映時間:115分
製作国:アメリカ合衆国

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公認会計士の理屈っぽい映画レビュー

コメント

  1. ZELDA より:

    ややこしい話でしたね。
    「裏切りのサーカス」と違って観直してまで確認する意欲が湧かないという
    だったらおっしゃるとおりシンプルなアクションで良かったんですが。

    • movie-review より:

      ZELDA様

      コメントいただき、ありがとうございます。
      見直してまで確認する意欲が湧かないというのは本当にその通りですよね。いまだに分からない点があるんですけど、もういいんじゃないのって感じです。
      原作ありの作品なので変えようのない部分もあった中で、企画が進行していく内に本来の見どころからどんどん離れていったのかなと思います。