デッドプール2【6点/10点満点中_まぁまぁの続編】(ネタバレあり感想)

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マーベルコミック
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6点/10点満点中

■前作よりも多少落ちるという典型的な続編

まず断っておくと、ティム・バートンの『バットマン・リターンズ』、サム・ライミの『スパイダーマン2』、クリストファー・ノーランの『ダークナイト』のような、めんどくさいヒーロー誕生編を第一作で終えて、監督のやりたいことが炸裂した異常値レベルの続編にはなっていません。前作の路線を引き継ぎつつ、興行的成功の恩恵で増えた予算のおかげで見せ場の数が増えたという、ハリウッドの続編の類型に収まっています。語るべきテーマを失ったためドラマは弱くなっているものの、外形的には前作をきちんと継承しているので、前作を楽しめた人は本作もいけるはずです。

■監督は『アトミック・ブロンド』のデヴィッド・リーチに変更

当初は前作のティム・ミラーが監督する予定だったのですが、ライアン・レイノルズと意見が合わずにプリプロダクション段階で降板(ミラーはもっと小さな製作規模を望んでいたようです)。代わって本作を引き受けたのはスタントマン出身の映画監督であるデヴィッド・リーチです。この人は『ジョン・ウィック』で共同監督を務め、シャーリーズ・セロン主演の『アトミック・ブロンド』で初の単独監督を務め、本作は単独監督2作目となります。スタントマン出身だけあってアクションの見せ方を熟知していることや、『アトミック・ブロンド』でも往年のヒットナンバーを作品のBGMとして使うことに長けていたことから、本作の適任者だったと言えます。

なお、降板後のミラーはジェームズ・キャメロン自身が脚本を書いた『ターミネーター』のリブート企画に移って行きましたが、本作におけるケーブルの演出にはいくつかターミネーターっぽいものがあり(タイムスリップ直後に裸で乗り物を奪う、安ホテルで鏡の前に座る)、意図的にやっているのかどうかという点がちょっと気になりました。

■アクションの質と量は向上

製作費が前作の倍になったので、分かりやすく見せ場が増強されています。前作には大きな見せ場が二つしかなかったのですが、本作では目の引く見せ場が要所要所に配置されており、かなりゴージャス。特に中盤のカーチェイスは豪快な破壊の中で各ミュータントの個性を反映した緻密な格闘が組み合わされており、アクションの中でキャラクターを語るということに成功した素晴らしい見せ場となっています。

■ドラマの質は低下

王道のヒーロー誕生編だった前作には力強いドラマがあったのですが、本作では語るべきドラマを見失っているような印象を受けました。ヴァネッサを失ったウェイドの自殺願望と仲間意識への目覚めという二つのテーマが提示されるものの、そのどちらにも観客を引っ張るような求心力がありませんでした。また、この二つのテーマがうまく関連することがなく、自殺願望というテーマが途中から有耶無耶になった点も残念でした。

■豪華なカメオ出演

「予算が足らなくてX-MENの主要メンバーを出せなかった」「待っていてもサミュエル・L・ジャクソンは出てこないぞ」などと顔ぶれの脆弱さをネタにしていた前作からは一転し、本作では豪華なカメオ出演が実現しています。

X-MENの主要キャラ達

自殺を試みたウェイドがコロッサスによって「恵まれし子らの学園」に運び込まれた際に、プロフェッサーX、ビースト、クイックシルバー、サイクロップス、ストーム、ナイトクローラーが一瞬映ります。これは最新作『X-MEN:ダーク・フェニックス』の現場に本作のスタッフがお邪魔して撮影したショットであり、前作でX-MENの主要キャラを出せなかったことの雪辱をついに果たしたのですが、時系列的に言えば本作に出てくるべきはパトリック・スチュワートやハル・ベリーらであって、新シリーズのキャストでは設定年代が合っていないような気もしましたが。

ケーブルにトラックを奪われるのがマット・デイモン

これは映画を見ている時には気付かなかったのですが、タイムスリップ直後のケーブルにトラックを奪われる2人のおじさんの内の一人がマット・デイモンだったようです。「世界一過大評価されているものはティッシュペーパーだ」というよく分からん話をしていた人ですね。マット・デイモンだと気づかれないように手の込んだ特殊メイクをしているのですが、なぜわざわざそんな手の込んだをしてまで顔を分からなくしたのかは謎です。

バニッシャーがブラッド・ピット

Xフォースとして雇われたバニッシャーは終始透明だったのですが、電線に引っかかって感電した瞬間に素顔が現れます。それがブラッド・ピットでした。こちらも見ている間にはブラピだとは分からなかったのですが、気付いて欲しい感じで映っていたのでビッグネームなのだろうと思って調べてみるとブラピでした。なお、ブラピはケーブル役として出演するとのウワサが一時期あった人で、プロデューサーのライアン・レイノルズも、制作の初期段階でケーブル=ブラピを検討していたことを認めています。

■なぜかDCコミックネタが多い

『デッドプール』はマーベルコミックの作品なのですが、なぜかDCコミックネタが多いことが引っかかりました。やっぱりネタにするなら身内よりもライバルの方が面白いし、DC側としても『ジャスティス・リーグ』(レビューはこちら)の苦戦から人気作でいじっていただけると有難いという風潮でもできたのでしょうか。

  • 悪党の始末で遅刻したことをウェイドがヴァネッサに説明する場面で…「あいつのお袋の名前もマーサだってよ」(マーサネタについてはこちらで説明しています)
  • ケーブルから名前を聞かれたウェイドが…「バットマンだ」
  • 刑務所でのケーブルとの格闘の最中にウェイドが…「お前ネクラだな。DCユニバースから来たのか?」
  • デッドプールが『グリーンランタン』に出演した俳優・ライアン・レイノルズを葬る。
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Deadpool 2
監督:デヴィッド・リーチ
脚本:レット・リース、ポール・ワーニック、ライアン・レイノルズ
原作:ファビアン・ニシーザ、ロブ・ライフェルド
製作:サイモン・キンバーグ、ライアン・レイノルズ、ローレン・シュラー・ドナー
製作総指揮:スタン・リー、ジョナサン・コマック・マーティン、ケリー・マコーミック、イーサン・スミス、アディッティア・スード、レット・リース、ポール・ワーニック
出演者:ライアン・レイノルズ、ジョシュ・ブローリン、モリーナ・バッカリン、ジュリアン・デニソン、ザジー・ビーツ、T・J・ミラー、ブリアナ・ヒルデブランド、ジャック・ケシー
音楽:タイラー・ベイツ
撮影:ジョナサン・セラ
編集:ダーク・ウェスターヴェルト、クレイグ・アルパート、エリザベット・ロナルズドッティル
配給:20世紀フォックス
公開:2018年5月18日(米)、2018年6月1日(日)
上映時間:120分
製作国:アメリカ合衆国

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