アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー【9点/10点満点中_イラク国民から見たイラク戦争】(ネタバレあり・感想・解説)

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マーベルコミック

(2018年アメリカ)
宇宙に均衡をもたらすため、サノスがインフィニティ・ストーンを集め始めた。6つあるストーンのうち2つが所在する地球が主戦場となり、アベンジャーズとサノスの攻防が開始される。

9点/10点満点中 豪華なエンタメと深遠な社会派テーマの高度な融合

やっちまいました。数日前にこれが届いてしまいました【アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー 4K UHD ムービー・コレクション(初回限定)】。

『インフィニティ・ウォー』は映画館で見てかなり気に入った映画だし、しかもこれはアベンジャーズ1~3の4K Ultra HDがセットになった夢のような商品だし、欲しいっちゃ欲しかったのですが、「どうせ来年になったら4もセットにしたのが出るんでしょ」という思いもあって購入を迷っていました。

ただ、転売屋さん達が暴れて価格が乱高下していたので「値段が下がってるうちに予約だけしておいて、いらなければ後でキャンセルするか」と1か月ほど前にAmazonをポチり、予約のことを忘れているうちに購入が確定してモノが届いてしまったという次第です。あ~1万円越えか~。

せっかくなので、作品レビューをしておきます。

史上最大規模のお祭り映画

ページ下部のキャストを見てください。何人のスターが出てるんだという大変な状況になっています。マーベルスタジオ10周年のアニバーサリー作品にして、製作費3億2千万ドルという史上最大規模の映画だけあって、内容の方はえらいことになっています。ソーとハルクというアベンジャーズ内でも規定外の強さを誇るヒーロー2名が軽くあしらわれるほど圧倒的なサノスのパワーを冒頭で見せることで、これはとんでもない敵がやってきたという印象を強く残し、そこからはひたすらに見せ場の連打。

ひとつひとつの見せ場のクォリティの高さや、オリジナルのアベンジャーズと、ここ数年で単独主演作が公開されたばかりのニューヒーローを組み合わせるというお祭り企画ならでは面白さ。特に、単独主演作では他のヒーロー達とは隔絶された世界で動いているような印象もあったガーディアンズの面々の合流のさせ方は見事なものだったと思います。

また、アベンジャーズ前2作の敵方はザコとラスボスだけで中ボスがいないことが気になっていたのですが、本作ではギニュー特戦隊のような中ボスが世界各地に出没し、個々の見せ場を盛り上げます。ワンシーンだけですが、懐かしのチタウリが出てきたこともうれしかったです。

信頼のルッソ演出

ルッソ兄弟の演出は、相変わらずキレッキレ。いろんな所でいろんなヒーローが戦ってばかりの作品なので、ともすれば観客がダレてしまう可能性もあった素材ですが、敵が攻め込んでくる前の兆候の積み重ねや、絶妙なタイミングでの味方の救援など、個々の戦いにはきちんとリズムがあり、最適なタイミングでアクセントとなる出来事が起こるので、そういった問題は回避できています。武器を新調したソーが戦線復帰する場面なんて、あまりの興奮で過呼吸になりそうでした。

また、深刻な空気になった後にはちゃんと笑える場面を入れてきており、随所に死が描かれる本作を完全にダークな作風にはしていないサジ加減もよかったです。

※ここからネタバレします。

予定調和を完全に壊したクライマックス

そしてクライマックスですよ。敵の目的が完全達成され、アベンジャーズが敗北するというまさかまさかの展開。なんだかんだ言ってヒーローは勝つものだと思って見ていた私は度肝を抜かれたし、この後、生き残り組はどうやって盛り返すのかという点への興味を強く惹かれたところで本作は終了。ドクター・ストレンジが言っていた「1400万通りの中の唯一の勝ち手」がここから開始されるのでしょうが、「頼むから早く続きを見せてくれ!」とケヴィン・ファイギの術中に見事にはまってしまいました。

閲覧注意のネタバレレビューです

サノスはヒーロー達と同類

本作で興味深いのはサノスの存在であり、彼は悪意を持っていたり、私利私欲のために他者を犠牲にしようとする通常のヴィランとはかなり趣が異なります。人口増加で母星が滅んだ経験を踏まえ、このまま生命が増え続ければそのうち宇宙は崩壊して全滅するから、最小の犠牲(生命の半分の死)で継続可能性を確保しようという、ある意味では救世主的な目的を持っています。

また、人を愛する心も、人の死を悼む心も持っています。ソウルストーンの代償として愛する者の命をレッドスカル(お懐かしい!)から要求された惑星ヴォーミルでのくだり。同行したガモーラからは「サノス、あなたは誰も愛していないのだから、ソウルストーンは永久に手に入らないわね」と言われたものの、実はサノスはガモーラを心の奥底から愛しており、かつ、大義のためであればそのガモーラを犠牲にできるほどの強い目的意識を持っており、涙を流しながらガモーラを崖から突き落としてストーンを入手しました。

これって、宇宙を守るという大目的のために愛するヴィジョンもろともマインドストーンを破壊しようとしたクライマックスでのスカーレットウィッチの行動とほぼ同じであり、犠牲を出してでも大義を守ろうとするサノスの姿勢にはヒーローに近いところがあります。本作で描かれるのは正義vs正義の衝突なのです。

強者の独断を許した結果

そこで思い出すのが『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』のテーマであった正義論であり、キャプテン・アメリカは責任ある強者による力の執行を認めるべきとの主張をしていました。『シビル・ウォー(内戦)』と『インフィニティ・ウォー(際限なき戦争)』のテーマはここで繋がるのですが、キャップの主張するアメリカ的な正義の行きつく先はサノスが仕掛けてきた際限なき戦争であり、国内においては目的通りに機能していたアメリカ的正義も、国外に向けた途端に他者を巻き込む狂気へと変貌するという現実世界への考察にもなっています。

■サノスの戦いはイラク戦争を象徴している

また、『シビル・ウォー』の内容がイラク戦争開戦前の国連安保理でのアメリカvs国連の応酬戦を象徴していたとすると、本作は民主主義の普及を目的に米国が起こしたイラク戦争を象徴していると考えられます。「民主主義は絶対に正しいのだから、今は理解できなくてもその価値観を受け入れなさい」。アメリカは創造的破壊のつもりでフセイン政権を打倒しましたが、その後に待っていたのは民主主義が普及してイラク国民から感謝されるようなバラ色の国際社会ではなく、際限なき混乱でした。

本作のラストの舞台がNYのような大都市ではなく、西欧文明とは一線を画したワガンダだったという点にも、この辺りの意図が隠されているような気がしました。西欧文明以外の視点からアメリカ的な正義の執行を眺めた映画ではないかと。スーパーパワーに庇護される立場から排除される立場に変わった時、見える光景はどう変わるのかという点で、本作はイラク人から見たイラク戦争の図ではないかと思います。

■ちょっとだけ文句

細かい難を指摘すると、キャップ、バッキー、ブラックウィドウ、ファルコンら生身勢が従前作品よりも明らかに戦闘力が上がっているというズルがあったり、アイアンマンのナノマシンスーツが何でもあり過ぎてかえって戦いの面白さを削いでいたりという点は気になりました。

ま、そんなこと言うのは野暮と言えるほどの特盛大サービス映画であり、10年間、すべてのマーベル作品を見てきて本当に良かったと思えるほど至福の時を味わうことができました。今回思いがけず買ってしまったUHDも繰り返し見ていきたいと思います。

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