カーゴ【3点/10点満点中_良作だった短編に不要な要素ばかりを付け足した失敗作】

スポンサーリンク
スポンサーリンク

[2017年Netflixオリジナル作品]

3点/10点満点中

■オリジナルは7分の短編

世界的に話題となった2013年の短編を長編化した作品。この作品は本作と同タイトルでYou Tubeで公開されているので、誰でも気軽に見ることができます。

オリジナルは、だだっ広い荒野に赤ん坊の娘を置いてはいけないとゾンビ化までの残された時間で父親が必死に移動し、ゾンビ化後には思わぬ形の自己犠牲で娘を人がいる場所にまで送り届けるという内容であり、子を思う親の捨て身の行動をセリフのないシンプルな構成で見せたことや、「その手があったか!」という前代未聞のワンアイデアが込められていたことから、わずか7分間ながら見応えのある作品に仕上がっていました。

■長編化にあたって追加した要素がオリジナルの長所を奪っている

長編版も本筋は変わらず、終末的な世界を舞台にした子を思う親の物語なのですが、いろんなサイドストーリーがくっついた分、肝心の親の物語が薄まっています。ゾンビ化まで48時間というタイムリミットが設定されているにも関わらず、あっちへ行ったりこっちへ行ったりする内容であるために主人公が焦っているように見えないのです。

さらには旅の同行者ができてしまったために、「俺が歩みを止めれば娘は死ぬ」という切実さがほとんど消えてしまっています。「ゾンビ化したら娘はよろしく」で済んでしまう話ですからね。
ゾンビ化後の展開はオリジナルを忠実になぞっているものの、あれは娘と主人公の二人っきりというシチュエーションだからこそ成り立っていたものであり、同伴者がいる状態ではあそこまでやる必然性が失われています。

■短編のみに留めていればよかったのでは

長編化にあたってはサイドストーリーやサブキャラが必要だったという事情も分かるのですが、ことごとく本筋に悪影響を与えているのでは失敗したと言わざるをえません。

ちなみに、短編映画をブローアップした長編作品というものは意外と多いもので、以下の著名な作品も元は短編でした。

  • 第9地区(ゲーム『HALO』映画化企画がマイクロソフトとの交渉決裂により頓挫した際、プロデューサーのピーター・ジャクソンはせっかく集めた人材が勿体ないということで、同作の監督に就任する予定だったニール・ブロムカンプが2006年に製作した”Alive in Joburg”を長編化)
  • チャッピー(ニール・ブロムカンプ監督が2004年に製作した”Tetra Vaal”を長編化)
  • THX-1138(ジョージ・ルーカスが学生時代に製作した『電子的迷宮/THX 1138 4EB』に可能性を見出したフランシス・フォード・コッポラが出資して長編化)
  • 12モンキーズ(フランスの映像作家クリス・マルケルの『ラ・ジュテ』にインスパイアされた作品)
  • ナポレオン・ダイナマイト(ジャレッド・ヘス監督が学生時代に練習用に製作した”Peluca”を長編化)
  • ブギーナイツ(ポール・トーマス・アンダーソン監督が1988年に製作した”The Dirk Diggler Story”を長編化)

Cargo
監督:ヨランダ・ラムケ,ベン・ハウリング
製作:サマンサ・ジェニングズ,クリスティーナ・セイトン
脚本:ヨランダ・ラムケ   
撮影:ジェフリー・シンプソン
出演:マーティン・フリーマン,アンソニー・ヘイズ,スージー・ポーター,カレン・ピストリアス,クリス・マッケイド,デヴィッド・ガルピリル
上映時間:104分
製作国:オーストラリア

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
記事が役立ったらクリック
スプラッタ
スポンサーリンク
言わんドラゴをフォローする
公認会計士の理屈っぽい映画レビュー

コメント