レベルムーン パート1 炎の子_劣化版ローグワン【5点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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(2023年 アメリカ)
ザック・スナイダーが20年も考えたとは思えないほど、まんま『スターウォーズ』なスペースオペラ。特に『ローグワン』(2016年)との類似性は顕著だったけど、ドラマでも見せ場でも『ローグワン』を越えられていないのが痛かった。

感想

『アーミー・オブ・ザ・デッド』(2021年)以降、蜜月状態が続くザック・スナイダー×Netflixのスペースオペラで、一大フランチャイズ化も視野に入った意欲作らしい。

DCEUにおいても実は壮大なサーガ構想があったことが判明しており、一つの壮大なコンセプトを膨らませる才能がザック・スナイダーにはあるのだろう。

ただしDCEUは頓挫し、彼が構築しようとした作品群が実現した例は今のところないので、我々観客はいまだスナイダーのビジョンの全貌に触れたことがないのだが。

宣伝によると本作の構想は20年とされており、最初に映画化の検討を行ったのが1997年とのことなので、この企画へのスナイダーの入れ込みようが伺える。

途中、スターウォーズの企画に書き換えてルーカス・フィルムに持ち込むも却下され、映画とゲームのメディアミックスの提案をワーナーに持って行ったり、テレビドラマ化の検討も経て、Netflixでの映画化に落ち着いたようだ。

そんなこんなでじっくりことこと煮込まれた作品ではあるが、完成した作品を見てぶったまげた。まんま『スター・ウォーズ』なのである。

辺境の惑星で農業を営む集落からスタートし、まんまモス・アイズリーないかがわしい港を経て、舞台は銀河へ。その冒険には王家が持つ特殊能力や、主人公の親子関係が絡んでくるという、旧三部作の要約版としか言いようのない概要。

そして主人公が集める戦士の面々は、東洋系の武術の達人や、反乱軍の司令官クラスなど、こちらは否応なしに『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016年)を連想させられる。

雨の中、主人公一行が敵と対峙するクライマックスなんて、『ローグワン』での惑星イードゥーのくだりそっくりだったし。

20年も考えて、ほぼ『スター・ウォーズ』ってのはいかがなものか。

2024年4月配信が予定されているPART2でオリジナリティを開花させる可能性もあるのでサーガ全体への評価は保留だけど、少なくとも本作単体で見ると、20年も考えたものとは思えない浅さだった。AIに脚本を書かせたのかとすら思えてくるほどのレベル。

パクるならパクるで面白くあれば結果オーライなんだけど、絶妙に面白くないのも問題。

『七人の侍』(1954年)よろしく、主人公が村の用心棒を探すことが本作の骨子なんだけど、出会って、ひと悶着あって、なんやかんやで仲間に加わってもらうという同じ展開を何度も何度も繰り返すのみなので、いい加減飽きてくる。

しかもキャラクター達は魅力不足だし、彼らの成長という軸もないので、キャラクター劇としても盛り上がらない。

脚本構成にも難があって、主人公コラ(ソフイア・ブテラ)の過去が徐々に明かされていくという構成をとっているために、上映中のかなりの時間、主人公の行動原理がよく分からないという問題も生じている。そのために活劇としての勢いが生まれていない。

だいたい、主人公にすべきは農民のグンナー(ミキール・ハースマン)じゃないだろうか。

戦争とは無縁な農民を中心とするからこそ観客の視点との同化を得やすいのに、なぜ元から戦士のコラを主軸にしてしまったんだろう。この構成には首をかしげざるを得ない。

その他の戦士たちは空気同然の存在感だし、よくよく考えてみると、なぜ戦いに参加したのかよく分からない者も多い。

あと即席の寄せ集め部隊の割に、元王様、宇宙に名を轟かせる元将軍、反乱軍司令官など、VIP比率が異常に高いことも気になった。後のサーガにおいては重要になってくる顔ぶれなのかもしれないけど、本作だけを切り取ると不自然だなぁと。

ザック・スナイダー印のビジュアルは健在なので見るには見られるけど、本作を見るなら、まずは『ローグワン』(2016年)をどうぞと言いたくなる。

良かったのは人種的多様性への過剰な配慮がなかったことで、アマプラの『ロード・オブ・ザ・リング 力の指輪』(2023年)や最近のディズニー作品全般が陥っている、時代劇風の閉じたコミュニティなのに、いろんな人種が同居していて世界観がさっぱり分からないという問題が起こっていない。

農業をやってる辺境惑星にいるのは金髪で青い目の白人だけ、大気汚染の進んだ工業惑星にいるのは東洋系だけと、各地の特徴が実に分かりやすい。

一方で反乱軍には多様な人種がいるので、圧政に不満を持つ人々が銀河全体から集まってきたという背景が見えてくる。

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