コブラ会(シーズン1)_まさかここまで面白いとは!【8点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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(2018年 アメリカ)
『ベスト・キッド』の後日談が面白いのかという半信半疑の気持ちで見たのですが、あまりの面白さにぶったまげました。負け犬が立ち上がるという王道の物語が中心にあって、そこに34年前の映画との濃厚な関係性があって、全体がユーモアでコーティングされている。コアなファンも一見さんも納得させられる素晴らしく面白いドラマとして仕上がっています。

あらすじ

ジョニー・ロレンス(ウィリアム・ザブカ)は34年前の空手大会で敗北したことをいまだに引きずっており、うだつの上がらない人生を送っていた。ある日、近所の高校生ミゲル(ショロ・マリデュエニャ)が不良グループに襲われているところを助けたことから、ミゲルから空手の稽古を依頼され、悩んだ末に空手道場の開設を決意する。

作品解説

『ベスト・キッド』(1984年)、34年ぶりの続編

『ベスト・キッド』(1984年)はいじめられっ子が近所の空手マスターと出会って手ほどきを受け、空手大会でいじめっ子を正々堂々と倒すという絵に描いたようなスポーツ映画でした。

『ロッキー』(1976年)でアカデミー賞を受賞したジョン・G・アヴィルドセン監督の手腕もあって王道の良さをしっかりと味わえる娯楽作として仕上がっており、1984年の全米年間興行成績第4位を記録する大ヒットとなりました。

その後、同じメンバーで『ベスト・キッド2』(1986年)、『ベスト・キッド3/最後の挑戦』(1989年)が製作され、若き日のヒラリー・スワンクに主演を交代した『ベスト・キッド4』(1994年)も製作される人気シリーズとなりました。

2010年にはリメイク版も製作されましたが、こちらは日本の空手から中国のカンフーに変更されており、師匠はジャッキー・チェンで少年はウィル・スミスの息子が演じました。そのご縁か、本ドラマシリーズでもウィル・スミス/ジェイダ・ピンケット夫妻が製作総指揮に名を連ねています。

それから8年後、第一作から34年後の2018年、ベスト・キッドシリーズの権利を所有するソニー・ピクチャーズは第一作の続編となる本ドラマシリーズ『コブラ会』を製作し、YouTubeの有料プランでの配信を開始しました。

その後、YouTubeは本作を売りに出し、Hulu、Amazon、Netflixの間で激しい争奪戦が繰り広げられた末にNetflixが権利を獲得。2020年8月よりNetflixでの配信が始まりました。

そして2021年1月にはNetflixよりシーズン3がリリースされる予定です。

登場人物

ジョニー・ロレンスの家族

  • ジョニー・ロレンス(ウィリアム・ザブカ):高校時代は地元の空手チャンピオンだったが、高3の時にダニエルに敗れた上にコブラ会を破門され、以降は仕事もプライベートも低調な生活を送り続けてきた。不良グループにいじめられていたミゲルを助けたことから空手を教えて欲しいと頼まれ、コブラ会を再建した。
  • ロビー・キーン(タナー・ブキャナン):ジョニーの息子だが両親の離婚後は母親に引き取られている。高校には在籍しているのみで通学することはなく、不良仲間と詐欺や窃盗を働いている。自分に会いに来ない父ジョニーを憎んでおり、父を苦しめるためにかつてのライバルであるダニエルに接近する。

ダニエル・ラルーソの家族

  • ダニエル・ラルーソ(ラルフ・マッチオ):貧しい出身だが、高校時代に日系人ミヤギさんから空手の稽古を受けて大会で優勝したのみならず、高い精神性も身に着けたことからビジネスの世界でも成功しており、現在は街の有力者となっている。コブラ会の理念にいまだ警戒心を抱いており、ジョニーが再開したコブラ会を潰しにかかる。
  • アマンダ・ラルーソ(コートニー・ヘンゲラー):ダニエルの妻で、夫の経営するラルーソ・オートの実務を支えている。彼女自身は穏やかな人柄であり、一方頭に血が上りやすい夫をセーブする役割も担っている。
  • サマンサ・ラルーソ(メアリー・モーサ):通称サム。ダニエルの娘で、幼少期に父から空手の稽古を受けていた。現在は高校のクィーングループと仲良くし、いじめっこカイラーと付き合っているが、友人達がおたくグループをイジメることには抵抗感を抱いている。

地元の高校生

  • ミゲル(ショロ・マリデュエニャ):ヒスパニック系で、本人はおたくではないのだが、友人が少ないのでおたくグループと一緒に居ることが多い。カイラー達にいじめられているところを通りすがりのジョニーに救われたことから、彼に弟子入りした。
  • カイラー(ジョー・セオ):アジア系で金持ち。高校ではイケてるグループのリーダー的な存在であり、おたく達を容赦なくイジメている。サムと付き合っており、彼女の目の前でだけ善人として振る舞う。
  • アイーシャ(ニコール・ブラウン):黒人とアジア人のハーフで、太った見た目を馬鹿にされている。幼い頃はサムと親友だったが、彼女がクィーングループに近づいたことから付き合いは途絶えていた。ミゲルの次にコブラ会に入り、ジョニーの教えを受けることで自信を取り戻した。
  • ホーク(ジェイコブ・バートランド):唇に傷があることをからかわれて内向的な性格だったが、コブラ会に入ってその教えを真に受けたことから、モヒカンにタトゥー、攻撃的な性格という180度異なる人格へと変貌を遂げた。

感想

負け犬達が再起を図る物語

ドラマはジョニー・ロレンス(ウィリアム・ザブカ)のうだつの上がらぬ日常から始まります。住んでいるのは安アパート、二日酔いで目を覚まし、ボロボロのスポーツカーに乗って仕事へと出かけていきます。

彼の職業は何でも屋で、高級住宅地のマダムやムカつくガキから不快な扱いを受けつつも耐え忍んで安い手間賃を受け取っているのですが、さすがに許容不可能な理屈で客からゴネられたので言い返すと、あえなくクビに。

遡ること34年前、『ベスト・キッド』(1984年)に登場した時のジョニーはこんな風ではありませんでした。

確かにダニエルさんをイジメるムカつく奴ではあったのですが、地元の空手チャンピオンで取り巻きも多く、学園のスターでした。

10代にしてバイクもスポーツカーも買い与えられる裕福な家の出身であり、服装にも人一番気を使っていたのがかつてのジョニーでした。

それが今やこんな無残な有様で、他人からの敬意を勝ち取るどころか自尊心すら失っています。ダニエルさんに敗北した34年前の空手大会以来、すべてがダメになっていたのでした。

そんなジョニーが近所の高校生ミゲル(ショロ・マリデュエニャ)を不良から助けたことから手ほどきを依頼され、最初は渋っていたのですが、身の上でもいろいろあってコブラ会を再建することが当シーズンの骨子となります。

34年間ジョニーが空手を封印し続けてきたのはあの忌まわしい大会の思い出を引きずってきたためであり、再度空手の世界に戻るということは、己の人生と向き合うことを意味しています。

18歳にして負け癖がついてしまい、52歳になるまで逃げ続けた人生。あまりにも長いブランクでしたが、そんな負を背負ったジョニーがもっとも得意なことに再挑戦する様には熱いものがありました。

そんなジョニーの周りに集まってくるのも負け犬ばかり。最初の門下生であるミゲルはヒスパニック系移民の子供で、学校には居場所がなく、いじめっ子から逃げ回る毎日。その後に入ってくるアイーシャもホークも似たような境遇です。

彼らの中にあるのは「一矢報いてやるのだ」という思いであり、対象こそ違えどジョニーもまた同じ思いを持っているからこそ、彼らが次第に力を付けていく様には興奮が宿っています。

本シーズンのクライマックス、34年前にジョニーが敗退しコブラ会が追放の憂き目にあった空手大会に新生コブラ会が舞い戻り、「コブラ会!コブラ会!」という声援を受ける場面では興奮が最高潮に達しました。

ボーダーレス化した善と悪

本作がさらに面白いのは、『ベスト・キッド』(1984年)の構図がひっくり返されているということです。

34年前、ジョニーは貧乏なダニエルさんをイジメる悪い奴でした。しかし現在の一番弟子ミゲルはかつてのダニエルさんのポジションにあり、ジョニーはミヤギさんのポジションを担っています。

そして、街の有力者となったダニエルさんはいまだにコブラ会を忌み嫌っており、可能な限りの圧力をジョニーに対してかけてきます。今度はダニエルさんこそが権力を振りかざす悪者のようになるのです。

しかしダニエルさんの不安は完全な杞憂というわけでもなく、勝利至上主義のコブラ会精神はジョニーに刷り込まれており、弟子たちに対するスパルタ教育やダーティーな戦法はいまだ健在です。

『ベスト・キッド』を踏まえて見るとかなり捻じれた構図がある上に、心情的には応援したくなるジョニーの側に絶対の正義があるわけでもない。

こうした善悪のボーダーレス化が作品を面白くしており、また展開を読みづらいものとしています。

アクション、ドラマ、ユーモアの絶妙なバランス

こうして感想を書き出してみるとシリアスなドラマっぽいのですが、作品の6割はユーモアでできており、基本的には笑えるシリーズとなっています。

ドラマやアクションは真剣そのものなのですが、そうしたハードな要素の後には必ず笑いが入って和やかになるので、見ていて非常に楽しい気持ちになれます。

ジョニーが気合を入れたい時に見る心の一作が『アイアン・イーグル』(1986年)ですからね。人生の節目を迎えた重要な場面において、ジョニーが真剣な顔で見ているのが『アイアン・イーグル』。笑うしかない場面です。

こんな感じでアクション、ドラマ、ユーモアが高いレベルで調和しており、まぁ見やすいのです。

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