ジャスティス・リーグ_ドラマの流れが悪い【6点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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DCコミック
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(2017年 アメリカ)
初登場のキャラ紹介やスーパーヴィランの紹介を手短にまとめた構成はうまくいっており、実に見やすい作品にはなっているのですが、ヒーロー大集結というお祭りが「見やすい」程度では期待値に達していません。

作品解説

監督の交代劇

本作には2名の監督がかかわっています。

クレジットされているのは『マン・オブ・スティール』、『バットマンvsスーパーマン』に引き続きザック・スナイダーであり、彼が本作の基本的な部分を作り上げたのですが、愛娘の自殺が原因で追加撮影中の2017年5月23日に降板。

残る撮影とポストプロダクションは『バッドガール』の企画をDCと検討中だったジョス・ウェドンに引き継がれました(ウェドンは2007年頃に『ワンダーウーマン』の監督としても声をかけられていたようです)。

音楽をダニー・エルフマンに変更

2005年の『バットマン・ビギンズ』以来、DCの音楽を担ってきたハンス・ジマーはヒーロー音楽からの引退を表明して本作には最初から関わっておらず、『バットマンvsスーパーマン』でハンス・ジマーと共作したジャンキーXLがメインとなって本作の音楽を作っていたのですが、ジョス・ウェドンはジャンキーXLの音楽を使わないことを決定。

代わって1990年代から2000年代前半にかけてのヒーローもの音楽はほぼこの人だったという程のベテランであり、ウェドンとは2015年の『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』で仕事をしていたダニー・エルフマンを起用しました。

この人選には、ヒーローものらしい明快な旋律がないと言われ続けてきたハンス・ジマー節を一新する狙いがあったものと見られ、実際、バットマンとスーパーマンの登場場面にはそれぞれ1989年版と1978年版のテーマが使われています。

上映時間を大幅に短縮

本作は当初PART1とPART2に分けるとされていたものの、後に一本に統合されました。元は前後編2本の予定だった作品だけあって上映時間は3時間程度になると言われていたのですが、ジョス・ウェドンは脚本の書き換えも含めて全体を見直し、ザック・スナイダーが意図したバージョンから50分も尺を縮めました。

その煽りをもっとも受けたのがサイボーグであり、スナイダーは本作をサイボーグの物語として構成していたのですが(最終決戦時にセンターに立っていたのがサイボーグだったのはそのため)、ウェドンはサイボーグ絡みのドラマを大幅にカットしてアンサンブルの一人に留めました。

尺を詰めすぎてうまく繋がっていない場面も散見されました。

例えば中盤におけるゴッサムハーバーでの戦闘。海底トンネルの壁が破られてジャスティス・リーグが危機に陥ったものの、肝心の脱出場面を描くことなく次の画面では何事もなかったかのように港に上がってゴードン警部と今後の展開の話をしているというおかしなことになっています。

「水を制御できるアクアマンが来たんだから助かったに決まってるでしょ」という雑な処理となっているのですが、ちょっと手を抜きすぎやしないかと思いました。

全体のトーンが明るくなった

前作『バットマンvsスーパーマン』の不評を受けて、ザック・スナイダーも本作を明るくしようという意図は持っていたものの、ジョス・ウェドンによるテコ入れはそのレベルではありませんでした。

フラッシュことバリー・アレンは暗い部分を持たない順然たるコメディリリーフとして位置づけられているし、ワンダーウーマンが持つ真実の投げ縄を使ってアクアマンが心情の吐露をして、横柄だった彼が実は仲間想いで繊細な部分があったという笑いどころとなっています。

また冒頭でバットマンが犯罪者をいたぶってパラデーモンを呼び出す場面はウェドンによってコミカルに撮られていたものの、ワーナーから「これはちょっとやりすぎではないか」との指摘が入ってシリアスに構成し直されたとの裏話もあります。

こうしたトーンの変更は見やすさという形で良い方向に作用しているものの、部分的には違和感も生んでいました。スナイダー節が炸裂していた”Everybody Knows”が流れる重苦しいオープニングが本編の内容からあまりに浮いており、監督が変わったということが一目でわかってしまうレベルになってしまっています。

感想

見せ場が絶え間なく続く構成には満足

ステッペンウルフ・パラデーモンvsアマゾネス軍団のロード・オブ・ザ・リング風の合戦に始まり、陸に海に空にといろんな場面での見せ場が展開し、その手数の多さには感心させられました。

またヒーロー一人一人の特技もうまく色分けできており、アクション映画としては非常に充実していたと思います。少なくとも、終始陰鬱な雰囲気でヒーローものらしい爽快感が皆無だった前作『バットマンvsスーパーマン』よりもヒーローものとしての体裁は整っていたのではないでしょうか。

ドラマがうまく流れていない

ただし、DCのクロスオーバー企画の弱点はキャラと展開を増やしすぎて話の交通整理ができていないということなのですが、本作においてもその欠点は改善されていませんでした。

特に弱いと感じたのはスーパーマン復活に関連する中盤のくだりであり、本来は感動的であるはずのこの展開が、ツッコミどころ満載の出鱈目な儀式になってしまっています。

スーパーマンを復活させるためには前回ドゥームズ・デイを生み出してしまったジェネシスチェンバーを再起動させねばならず、もしかしたらスーパーパワーを持った化け物をもう一度生み出してしまうというリスクもありました。

しかし、なぜそんな危険な賭けに打って出てまでスーパーマンを復活させる必要があったのかという点がうまく説明されていないので、ジャスティス・リーグが苦渋の決断を下す過程でのドラマや、モンスターを生み出してしまうかもしれないというスリル、スーパーマン復活時の感動の醸成に失敗しています。

この直前のゴッサムハーバーでの戦闘において、このままではステッペンウルフには勝てないとジャスティス・リーグと観客が認識するほどの絶望的な大敗や、もしステッペンウルフの阻止に失敗すれば大変なことが起こるという逼迫感の演出はもっと必要だったように思います。

ブルースがスーパーマンを慕いすぎて、もはやファン

スーパーマン復活に関連して、ブルースがやたらとスーパーマンをリスペクトしている点も不自然に感じました。

スーパーマンの能力のみならず人格までを大きく評価している様子であり、その慕い方はちょっと普通じゃないレベルなのですが、前作で「クリプトン人は人類の脅威だ!ぶっ殺してやる!」と息巻いていたブルースがここまでスーパーマン贔屓になっているという急な変化は、もはやシリーズ内でのドラマの断絶とも言えます。

また、前作で彼がスーパーマン排除に走るきっかけとなった世界の破滅を見た予知夢の問題も何ら解決していない中で、ブルースが安易にスーパーマン復活に走っていくという流れには浅はかさも感じました。

今自分がやろうとしていることが世界の破滅の始まりかもしれないという逡巡は必要だったのではないでしょうか。

スーパーマンの復調が早すぎ

「『ペット・セメタリー』みたいになるのでは」というフラッシュの心配が的中し、復活後のスーパーマンは品行方正な生前からは想像できないほどの乱暴者になっていました。

ジャスティス・リーグはステッペンウルフに加えてスーパーマンまでを敵に回すという最悪の事態を迎えるのですが、恋人のロイス・レーンに会わせて実家に帰省させるとスーパーマンの機嫌はたちまち直り、その日のうちに戦線復帰してくれるというお手軽処理となっています。

こんなことだったら、スーパーマンが闇落ちしかけるという展開はない方が良かったんじゃないかと思います。

チームの役割分担ができていない

個性の異なるヒーローが特技を発揮しながらチーム戦を繰り広げることこそがヒーローのクロスオーバー企画の醍醐味なのですが、その面白さがあまり追及されていませんでした。

リーグの旗振り役だったバットマンが統率するのかと思いきや、「俺にはそういうの無理。ワンダーウーマンよろしく」と言ってみたり、かと思えば別の場面では「やっぱスーパーマンみたいな奴じゃないと統率できない」とか言うのでバットマンの立ち位置がよく分からないし、さらにはワンダーウーマンとスーパーマンのどちらがチームを引っ張るのかも不明確になるという混乱が生じています。

アクアマンは気分が向いた時に現れて雑魚を相手にしているだけだし、フラッシュに至っては一家族を助けるくらいのことしかしていません。

今回のキーアイテムに関わっているサイボーグはボックスを相手に一人で頑張ってるだけでイマイチ有難みが伝わってこないし、スーパーマン一人いれば全部片付いた話で、他の奴は全員要らなかったんじゃないのという状態になっています。

実際、スーパーマンが来た途端に楽勝ムードとなり、それまで他のメンバーがヒーヒー言いながらやっていたパラデーモンの排除、ステッペンウルフとの戦闘、被災者の救助、ボックスの分離という4つの仕事を、スーパーマンはたった一人で楽々とこなしてしまいましたからね。

ザック・スナイダー版は存在しているのか?

本作は公開当時より「ザック・スナイダー版も見せろ」という声が上がっていました。私も、前述した重苦しいオープニングが非常に素晴らしかっただけに、あのトーンで構成された本編を見てみたいものだと思ったし、『バットマンvsスーパーマン』のアルティメット・エディションの出来が劇場版とは比較にならないほど素晴らしかったという実績も、その思いを強くししました。

幻のスナイダー版に関しては、2018年6月にスタッフの一人が「100%完成しているとはいえないかもしれないが、計画されたシーンはすべて撮られているし、タイムラインに沿って編集されている」との証言をしたり、かと思えば別の関係者が「それは1000%ありえない」と否定したりと混沌とした状況が続いていましたが、ウォールストリートジャーナルの2018年7月20日付けの記事で、同誌の独自調査の結果、スナイダー版は存在していないとの結論が付きました。

またヘンリー・カヴィルはイギリスのYahoo!のインタビューにおいて、ウェドン版とスナイダー版に内容面での大差はないので、ワーナーが追加投資をしてまでスナイダー版を復活させる可能性はないと答えています。スナイダー版の撮影はできているものの、それを完成させるためにはVFXを入れるなどの追加コストが必要であり、そのコストをかけるほどのビジネス的な価値はないからスナイダー版が日の目を見ることはないと言うのです。カヴィルのこの説明が私の中ではもっとも腑に落ちました。

また、撮影中に愛娘を失ったスナイダー夫妻が、辛い思い出のある本作と再度向き合えるのかという問題もあります。実際、ザック・スナイダーはいまだに劇場公開版を見ておらず、ジョス・ウェドンが追加したロシア人家族のエピソードすら認識していないようなのです。

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