[2018年Netflixオリジナル作品]
5点/10点満点中
■ブラックリスト入りした脚本の映画化
本作の脚本は2013年のブラックリスト(映画化されていない優秀な脚本リスト)で8位にランキングした後、2014年1月にジョー・ジョンストンが監督に起用され、2016年9月にはジェームズ・マカヴォイとの出演交渉に入ったものの、ジョンストンとマカヴォイが相次いで降板し、その後ベン・ヤングというソース焼きそばみたいな名前のよく知らない監督と、名脇役として幅広く活躍しているマイケル・ペーニャが主演としてキャスティングされました。
配給権を取得したユニバーサル・ピクチャーズは2018年1月26日に全米公開する予定だったものの後に公開スケジュールから外し、2018年2月にNetflixへと売却しました。Netflixオリジナル作品には、企画・制作時点からNetflixが関与しているパターンと、何らかの理由でスタジオが配給を断念した作品をNetflixが購入して独占配信するというパターンがありますが、本作は後者に当たります。
■配給権が売りに出されただけのことはあるグダグダ加減
ユニバーサルが配給を断念したという経緯が示す通り、本作の出来は決して芳しいものではありません。予兆の積み重ねに全然不気味さがなく、むしろさっさとネタバラシをして話を先に進めて欲しいという気持ちにさせられるし、いざ侵略が開始されても戦闘場面に緊張感がなく、この展開であればもっと興奮したりドキドキしなきゃいけないはずなのに、感情面でのアクセルが全然かかってこなくてやきもきさせられました。肝心の見せ場の最中に眠くなる始末であり、新人監督の演出力がまったく追い付いていない状態となっています。
※注意!ここからネタバレします。
■中盤のドンデンはちゃんと面白い
とはいえ、さすがはブラックリスト入りした脚本だけあって中盤以降の意外性ある展開には目を引くものがありました。エイリアンと思われた敵が実は人間だったこと、人間だと思っていた主人公が実はアンドロイドだったこと、そして今回の戦争は実は2回目であるということ、アンドロイド側は本来の住民である人間を追い出した侵略者だったという『ノンマルトの使者』みたいな歴史があったことが描かれるのですが、まさかここまで激しく動く話だとは思っていなかったので、かなり驚かされました。
また、アンドロイド側がメキシコ系のマイケル・ペーニャを筆頭にラテン人や黒人中心のキャスティングである一方で、これを奪還に来た人間側で顔出しをしたマイルスが白人であったという点には、アメリカの移民問題が反映されているようでもあって、こちらでも興味を惹かれました。
Extinction
監督:ベン・ヤング
製作:デヴィッド・ホーバーマン、ネイサン・ケイハン、トッド・リーバーマン
出演者:リジー・キャプラン、マイケル・ペーニャ、マイク・コルター、リリー・アスペル、エマ・ブース、イズラエル・ブルサード
音楽:The Newton Brothers
撮影:Pedro Luque
編集:Matthew Ramsey
製作会社:ユニバーサル・スタジオ、Good Universe、Mandeville Films
配給:Netflix
公開:2018年7月27日
製作国:アメリカ合衆国
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