【初心者向け】ガンダムシリーズはどれから見るべきか

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『閃光のハサウェイ』の大ヒットや、Netflixによる実写化企画など、ここんところガンダムが熱くなってきていますが、見たことのない人にとっては「とっつきにくそう」「数が多くて訳が分からん」という状態になっており、ファンと一般人との間の温度差が特に激しいシリーズであるとも言えます。

そこでガンダムビギナーの方が何を見ればいいのかをまとめて見ました。

機動戦士ガンダムの魅力

量産機のカッコよさを味わえる

こんな記事を書いているものの、私は少年期からガンダムにどっぷりというわけではありません。

1981年生まれの私は1979年放送開始の『機動戦士ガンダム』の直撃世代ではなく、その続編である『機動戦士Zガンダム』は幼稚園の頃に始まりましたが、さすがにその年齢の子供に理解できる話ではないのでたまに見かけていた程度です。

小学生の頃にはSDガンダムを楽しんだものの、その時点でガンダム本編を見た経験はなく、何だかよく分からないけどとりあえずBB戦士を組み立てていました。

そんなガンダムとは縁のない少年期を送って来た私ですが、10代後半に見たこの絵にぐっとくるものがあり、そこからレンタルビデオでファーストガンダムのテレビシリーズを見るようになりました。

OPの「巨大な~敵を~」のところなのですが、それは一機一機が特別な存在である通常のロボットアニメとは根本的に異なる、戦闘機や戦車の如くロボットが通常兵器として戦場で運用されているという図でした。

これにハートを撃ち抜かれた私は、すっかり量産機の虜になりました。

量産機の何がいいって、武骨なデザインで群れを成して行動する様がいかにも軍隊っぽく、その先にあるハードでリアルな作風には男子を興奮させるサムシングがあるのです。

劇場版第二作『哀・戦士編』(1981年)でジャブローに降下する大量のジオン量産機の画と、連邦軍の凄まじい弾幕に恐れをなした名もなきジオン軍パイロットの「降りられるのかよ」というセリフは、まさにその真骨頂と言えるものでしょう。

こういう世界観が堪らないわけです。

善悪のボーダーレス化

そんな量産機のイメージ通り、ガンダムで描かれるのは戦争なのですが、単純な勧善懲悪の話ではないところが作品の魅力です。

宇宙移民が進んだ世界において、地球連邦からの圧政に苦しむスペースコロニーで独立の機運が高まり、ついに一年戦争が開戦。

この筋書きを見る限りはスペースコロニー側にこそ大義がありそうなのですが、主人公アムロ・レイとその搭乗機ガンダムが所属するのは地球連邦軍であり、スペースコロニー側のジオン公国は敵対者となります。

また、地球連邦内にも乱暴狼藉を働く輩がいるし、ジオン公国側にも尊敬に値する敵将がいて、味方だから良い奴、敵だから悪い奴という単純な図式ではないことに、現実社会の難しさが投影されています。

豊かな人間ドラマ

そんな世界観なので人間ドラマも一筋縄にはいかず、主人公アムロ・レイの成長譚を軸として、実に癖のあるキャラクター達の入り乱れる群像劇となっています。

機械いじりが好きな少年アムロは、最新鋭機ガンダムに興味を持ったこと、及び、危険回避のため敵と戦う必要性に遭遇したことからこれに乗り込み、襲ってきたザク2機を撃破します。

軍人でもない15歳の少年が兵器を動かして敵を倒した。

通常ならば「ありがとう。じゃあね」で終わるべき話なのですが、母艦ホワイトベースも背中に火がついた状態で、ガンダムに乗れる奴がいるなら子供でも使いたいという状況があったことと、アムロ側も居住コロニーを破壊されて難民状態となり、ホワイトベースに乗り込む以外に道がなかったことから、流れでガンダムのパイロットにさせられます。

ただし繰り返し言いますがアムロは15歳の少年なので、命令されても「え?僕が出なきゃいけないんですか?」という態度を取ります。当たり前のことですが。

一方、命令する側からすればここは軍隊で指示は絶対。一瞬でも反応が遅れれば全員死ぬかもしれない極限状況で、お前はいちいちうるさいんだよということになってきます。

前半ではアムロを抑え込もうとするブライト・ノア艦長と、不貞腐れるアムロという図が繰り返されます。

その後、多くの戦場と魅力的な人々の死に直面することで、ブライトの言う通り戦場は地獄で、甘えたことを言っていられる余裕はないことを悟り、アムロはマシな人間に成長していきます。

この動的なドラマが実に面白いわけです。

見るべき作品・飛ばしていい作品

こうして魅力について書いたものの、40年以上の歴史を持つガンダムシリーズは膨大な量となっており、一体どれから手を付ければいいんだかという状況となっています。

そこで見るべき作品と飛ばしてもいい作品を区別しますが、まずはその前提として、宇宙世紀とアナザーガンダムについて説明します。

宇宙世紀とはガンダムの世界における紀年法で、第一作『機動戦士ガンダム』から連綿と続くシリーズは、基本的にこの世界線上で展開されています。

他方、アナザーガンダムは宇宙世紀とは異なる世界を舞台としており、その最初の作品である『機動武闘伝Gガンダム』(1994年)に象徴される通り、かなり自由で伸び伸びとした作風を提示するので、これはこれで楽しかったりもします。

『機動戦士ガンダムSEED』『機動戦士ガンダム00』『鉄血のオルフェンズ』などの人気作もアナザーガンダムなのですが、これらはすべて単発で他の作品と世界観を共有していないことから、シリーズ理解のために必要な作品でもありません。

よって、ガンダムを語りたければとりあえず宇宙世紀モノを押さえておけということになります。

そこで宇宙世紀モノを設定年代順に並べた上で、見る必要があるかどうかを整理したのが以下の一覧です。Sは必見、Aは重要、Bは時間があれば、Cは見なくてOKです。

なお、ここでの評価は作品自体の面白さ度外視で、シリーズ全体への影響度という尺度で重要であるかどうかが基準となっています。よって、C評価でも見て損のない面白い作品はいっぱいあるので、それは↓の「各作品ショートレビュー」を参考にしてください。

出来事宇宙世紀作品名製作年媒体必修度合
ジオン公国の勃興0068-0079ガンダム THE ORIGIN2015-2018OVAA
一年戦争0079機動戦士ガンダム1979-1980TVB
一年戦争0079機動戦士ガンダム劇場版三部作1981-1982映画S
一年戦争0079ポケットの中の戦争1989OVAC
一年戦争0079第08MS小隊1996-1999OVAC
一年戦争0079サンダーボルト2015-2017OVAC
デラーズ紛争00830083 STARDUST MEMORY1991-1992OVAC
グリプス戦役0087Zガンダム1985-1986TVA
グリプス戦役0087Zガンダム A New Translation2005-2006映画C
第一次ネオジオン抗争0088ガンダムZZ1986-1987TVB
第二次ネオジオン抗争0093逆襲のシャア1988映画A
ラプラス戦争0096ガンダムUC2010-2014OVAA
不死鳥狩り0097ガンダムNT2018映画C
マフティー動乱0105閃光のハサウェイ2021映画B
コスモ・バビロニア建国戦争0123ガンダムF911991映画C
ザンスカール戦争0149Vガンダム1993-1994TVC

兎にも角にも見るべきは最初のガンダム。所謂ファーストというやつです。

ガンダムファンを自称するおじさんの中には、実はファーストしか見ていないという人も結構います。裏を返せば、ファーストさえ見ていればガンダムに対して一格言を持てるようになるので、必修中の必修科目であると言えます。

なお、ファーストガンダムはテレビシリーズがオリジナルで、後に総集編的な劇場版三部作が製作されるのですが、劇場版の方がコンパクトなうえに圧倒的に面白いので、見るならダンゼンこちらです。

そんなファーストを中心として、その前史が描かれる『The Origin』、直接的な後継作である『Zガンダム』『逆襲のシャア』、宇宙世紀の総括的作品である『ガンダムUC』が、重要度の高い作品となってきます。

他方、「F91」と「Vガンダム」は設定年代が他の作品とかなり空いており、一応は宇宙世紀ではあるものの、ほぼアナザーガンダムと言えるほど世界観や物語に連続性がないので、無視しておいて問題ありません。

その他、一年戦争モノでも外伝的な要素の強いOVA作品群は、重要度が低いと判断しています。

そして見る順番ですが、宇宙世紀の年表順ではなく作品のリリース順に鑑賞されることをお勧めします。設定年代上は前史であっても、先に世に出た作品の影響は後発作に織り込まれるためです。

おすすめコース

この重要度を踏まえた上で、おすすめするコースを二つご紹介します。

劇場版三部作→Zガンダム→逆襲のシャア→ガンダムUC

製作年媒体上映時間
劇場版三部作1981-1982映画6時間52分
Zガンダム1985-1986TV27時間5分
逆襲のシャア1988映画2時間0分
ガンダムUC2010-2014OVA7時間16分
合計43時間13分

まずは宇宙世紀総括コース。連邦とコロニーの血みどろの歴史をほぼ把握することができます。

ボトルネックは全50話を見なければならない『Zガンダム』が結構しんどいことですが、強化人間、ルオ商会、アナハイム・エレクトロニクス、ミネバ・ザビ、ダカール演説など、以降の作品に影響を与える要素がてんこ盛りであることから、我慢のしどころです。

そして逆シャアは一本の映画で完結するので問題なしとして、ここまで見てきたご褒美が『ガンダムUC』となります。

面白さで言えばシリーズトップクラスの作品なのですが、宇宙世紀の歴史を踏まえたからこそ理解できる要素も多いので、逆シャアまでを押さえたあなたなら「ふむふむ、あれがこうなったのね」と思いながら楽しむことができます。

劇場版三部作→THE ORIGIN

製作年媒体上映時間
劇場版三部作1981-1982映画6時間52分
ガンダム THE ORIGIN2015-2018OVA7時間25分
合計14時間17分

次は一年戦争をしっかりと理解するコース。

劇場版三部作は一応おさえた、おもしろかった。ただ↑のコースだとそこからさらに37時間もあって、さすがにそれはしんどいだろ感じた方は、こちらにしてください。

必修科目であるファーストを見た後で、ジオン公国の歴史やモビルスーツの開発史が描かれる『The Origin』を見ると、「おぉ!なるほど!」となること請け合いです。

また、ファーストの人間ドラマの起点部分も描かれます。

シャアとセイラの生い立ち、シャアとガルマ・ザビ、シャアとララァ・スン、セイラとランバ・ラルの関係がすべてわかるので、この点でもファーストをより楽しむきっかけとなります。

そしてファーストではセリフで語られるのみだった「シャアが単騎で戦艦5隻を落とした」というエピソードも映像化され、確かに彼は赤い彗星だわと納得できます。

各作品ショートレビュー

機動戦士ガンダム(7点/10点満点中)

通称ファーストガンダム。元祖にして決定版であり、上記で書いた「ガンダムの魅力」とは、このファーストガンダムの魅力と同義と考えて間違いありません。

ただ、私が本作をちょっとしんどいと感じるのは作画レベルで、アニメーターは『宇宙戦艦ヤマト』の1/4の人数、しかも人材は寄せ集めレベルだったという話もあって、現代のアニメに慣れた目で見ると「マジか」と言いたくなるほどの低クォリティです。

加えて、天才と言われた作画監督の安彦良和が病気で最終10話には不参加であり、富野由悠季監督自身が作画までを担当して何とか間に合わせたことから、いわゆる作画崩壊を頻繁に起こしています。

機動戦士ガンダム 劇場版三部作(8点/10点満点中)

全43話のテレビシリーズを三本の映画にして公開した作品。

端的にいうと総集編であり、あらすじに大きな変更点はないのですが、驚異の構成力によってツギハギ感のない2時間強の映画として各作品を成立させています。その結果、テレビシリーズと比較して面白さが格段にアップ。

加えてテレビシリーズの不備だった部分には修正が入っていて、玩具メーカーの要望で登場させたスーパーロボット的アイテム Gファイターは、より現実的な兵器コア・ブースターに置き換えられ、またテレビシリーズでは特に作画の酷かった最終10話に相当する部分は新規作画で対応しています。

くだんのGファイターとコア・ブースターに象徴されるテレビシリーズと劇場版の差異部分に着目すると、後の作品で残っているのは劇場版の要素であり、シリーズ通しての正史扱いであるという点においても、劇場版の方に優位性があります。

ただしカットされている部分も少なからずあって、2022年に映画化される「ククルス・ドアンの島」に相当するエピソードは丸々なくなっているし、 マ・クベの名セリフ「あれはいいものだ」もカットされています。 旧ザクやギャンといった人気モビルスーツも登場しません。

機動戦士Zガンダム (8点/10点満点中)

もともと単発作品だったガンダムを長期シリーズ化させた立役者で、ファーストの次に重要。「ゼットガンダム」ではなく「ゼータガンダム」と読みます。

前作で主人公側だった連邦軍が戦勝によって醜悪化したという設定が置かれており、連邦軍内でも最右翼の派閥であるティターンズがはたらく数々の狼藉に対し、スペースノイド寄りの派閥エゥーゴが立ち上がるという仲間割れ的な図式によって、前作が提示した善悪のボーダーレス化というテーマをより深掘りしています。

そして、後半ではジオン残党アクシズまでが参戦するのですが、第三極が現れるという展開もまた斬新であり、未来の政治劇を描いたガンダムシリーズの真骨頂的作品だと言えます。

その他、巨大な資本力を持つルオ商会や、敵味方双方に武器を提供する軍需企業アナハイム・エレクトロニクスなども介在し、戦争を起こすメカニズムをよりマクロな視点から見つめたことも冴えています。

物語中盤で主人公機が交代するというシリーズ定番の流れも、本作が始まりです。

裏事情を明かすと、タカラのトランスフォーマーに対抗すべくバンダイがガンダムに変形機構を盛り込むことを要望したところ、そのデザインが難航して製作スケジュールに間に合わず、苦肉の策としてRX-78のリファインであるガンダムMk-Ⅱ(マーク・ツー)を繋ぎで登場させたとのことでした。

放送当時、子供心にも「タイトルが『Zガンダム』なのに、なんでZガンダムが出てこないんだ」と不思議に思っていました。

機動戦士Zガンダム A New Translation(2点/10点満点中)

2005年から2006年にかけて公開された劇場版で、内容はテレビシリーズの総集編でありつつも、新規に作画を加えたり、一部の物語を変更したりといった形での修正が入っているのですが、これが結構な地雷。

ファーストの劇場版三部作のような素晴らしい完成度を期待すると確実に裏切られます。

中身の濃かったZガンダムを90分×3本に要約することなど土台不可能な話だったようで、話は飛び飛び。これだけ見ても一体何の話をしているんだかサッパリ分かりません。

テレビシリーズを見たことある人向けの別バージョンであり、ガンダム初心者が見るべきものではないので、これを見るならテレビシリーズを見ましょう。

機動戦士ガンダムZZ (5点/10点満点中)

本作には不評しか聞こえてこないのですが、実際に全話見たという人はファンであっても少ないというのが実感で、悪いイメージだけが先行した可哀そうな作品でもあります。

「ガンダムゼットゼット」ではなく「ガンダムダブルゼータ」と読みます。またタイトルはガンダムダブルゼータなのですが、主人公機はダブルゼータガンダムです。

前作『Zガンダム』が複雑かつ陰鬱な作風だったことの反動か、本作の主人公ジュドー・アーシタとその仲間達は一般的な子供向けアニメっぽい快活な性格とされており、「妹を救い出す」という明確な行動原理が置かれている点でも、前2作と一線を画しています。

前半部分は敵味方ともに殺生というワードからは程遠いドタバタ劇を繰り広げ、それが前2作の作風に惹かれた旧来ファンからの反発を招いたのですが、宇宙世紀でも一二を争う鬱エピソードである第20話「泣き虫セシリア」以降はシリアスへと転換していきます。

この転調が当初から計画されていたものなのか、不評を受けての方向転換なのかは定かではないのですが、シリーズ前半でおちゃらけていた敵キャラが、戦争という状況下では情け容赦のない戦士に変貌することはかなり衝撃的で、この構成にも意義はあったと言えます。

とはいえZガンダムと比較すると内容が薄く、本筋とは関係のないエピソードも多いので、必見と言えるほどの作品ではありませんが。

そして不人気を受けて後の作品でもZZに相当する部分だけはなかったことにされがちなので、避けて通っても問題のない作品です。

逆襲のシャア (6点/10点満点中)

アムロとシャアの最終決戦を描いた作品であり、2時間の映画枠で起承転結を収めたシリーズ初の作品でもあります。

人気キャラ シャアにスポットを当てたファン待望の企画であったことや、隣接する『ガンダムZZ』とは打って変わってのハードな作風、そしてν(ニュー)ガンダムとサザビーという人気モビルスーツの登場などなど、ファンからの支持の高い作品。

が、個人的には微妙でした。

一年戦争で戦死したララァ・スンへの思いを引きずり続けるシャアが気色悪かったし、アムロとシャアがお互いへの不満や恨みを叫びあっているだけという内容なので、これを見せられる側は「いい歳の大人が何やってんだか」という心境になります。

また、アムロのニュータイプ能力とνガンダムのサイコフレームが共振して大規模な物理現象を起こすというオカルト路線へのコレジャナイ感もあって、合わない人には本当に合わない癖のある作品だと言えます。

ポケットの中の戦争(7点/10点満点中)

全6話のOVAでリリースされた作品。初のOVA形式で、富野由悠季以外が監督した初の作品であり、戦況を左右しない一般パイロットを主人公にした初めての作品でもあって、いろいろと初めて尽くし。

作風的には隣接する『逆襲のシャア』の対極に位置するものとなっています。

作戦の失敗から中立コロニーに潜伏することになったザクのパイロットと、彼と親しくなる地元少年が主人公で、少年から見た戦争というテーマが置かれており、ドラマ要素がかなり強く打ち出されています。

外伝的な作品であるためシリーズ理解という意味ではまったく見る必要はないものの、ガンダムシリーズやロボットアニメという枠を越え、戦争を扱った物語として実に上質であることから、一つの作品として見て損はありません。

またモビルスーツ戦に比重が置かれていない作品ながらも、ガンダムNT-1(通称アレックス)やケンプファー、ジム・スナイパーⅡなどの人気モビルスーツが続々登場する点も見所です。

どんな劣勢でも任務遂行しようとするサイクロプス隊のシブイ親父軍団も魅力的だし。

0083 STARDUST MEMORY(7点/10点満点中)

全13話のOVAでリリースされた作品で、『機動戦士ガンダム』と『Zガンダム』の間の年代が描かれます。

『トップガン』の影響を受けた作風につき戦闘重視であり、さらには主人公は最初から軍属なので「俺は何のために戦うんだ」などとうじうじ悩むこともなく、見ごたえのある戦闘がテンポよく流れていきます。

モビルスーツはかっこよく、ガンダムvsガンダムという21世紀以降に顕著となる図式の走りとなった点でも重要。またアナベル・ガトーやシーマ・ガラハウといった人気キャラや、「ソロモンよ、私は帰ってきた!」という名台詞も登場するテンションの高い作品でもあります。

ただし宇宙世紀の理解のために必須というわけではありません。なぜなら年代的には前のはずなのに『Zガンダム』よりも高性能なモビルスーツが多数登場し、公式もその矛盾に対して「ガンダム開発計画の抹消」という苦しい説明を加えているからです。

すなわちここで描かれる事件やテクノロジーは歴史から葬り去られたものであり、シリーズ全体で見るといささか浮いた存在だというわけです。

機動戦士ガンダムF91(4点/10点満点中)

『逆襲のシャア』でファーストから連綿と続いてきたジオン公国、及び、ジオン残党との戦争にも終止符が打たれたことから、年代と設定を刷新しての新章的作品となったのが本作。

最初はテレビシリーズの企画だったものが、まず序章を劇場公開し、続きをテレビシリーズで放映するという企画に転じたようです。

その結果、この劇場版にはテレビ1クール分(12話相当)の内容が詰め込まれるに至り、物語は異常な駆け足で、一回の鑑賞ではまず内容を理解できません。

さらには、そんな作品の瑕疵が影響して興行的に振るわなかったことからテレビシリーズも製作されず、尻切れトンボで終わっています。

とはいえ主人公機F91はかっこいいし、ジオン系から離れたクロスボーン・バンガードのモビルスーツのデザインも優れています。また民間人が容赦なく死亡する戦場の激しさも描かれており、ガンダム好きからは「これはこれで見応えあり」と評価される向きもあります。

ただあくまで玄人視点なので、この記事の対象となっている方が見るべきものではありません。

機動戦士Vガンダム(6点/10点満点中)

『F91』に続いて年代と設定を刷新した作品であり、宇宙世紀でも一番の問題作。

敵となるザンスカール帝国のモビルスーツデザインは『F91』のクロスボーン・バンガードの延長線上にあり、製作背景としては『F91』の仕切り直しだったのかなと思います。

いつの間にやら19世紀のように退行した地球に、宇宙からザンスカール帝国が侵攻してくるという、一年戦争以来の図式をひっくり返した設定の元、13歳にまで若返りを果たした主人公が大活躍する作品となっています。

当初は快活な冒険ものを志向していたようなのですが、「いつものガンダムっぽくやってよ」というスポンサーからの横槍が入っただか入らなかっただかで、途中からギロチン処刑あるわ、民間人の虐殺があるわ、みんなの憧れだった素敵なヒロインがトチ狂って悪人になるわと、負の要素がドバドバと注ぎ込まれた異形の作品となりました。

あまりに突出しているのでエヴァの庵野秀明などはこの作品を絶賛しているのですが、全体として見た時にはバランスのおかしい異常作という印象です。

第08MS小隊(7点/10点満点中)

一年戦争時の名もなき部隊を主人公にした物語。全11話+エピローグ1話のOVAでリリースされました。

敵味方双方が汚損したモビルスーツを扱い、主人公機はガンダムとはいうものの、アムロの乗っていたRX-78の厳しい規格に耐えられなかった不採用部品を流用して組み立てられた急造品という設定となっています。

戦っていない時のモビルスーツは重機の代わりとしても使用されているなど兵器考証が突き詰められており、本シリーズのミリタリー要素を行きつく所まで行きつかせた作品だと言えます

軍属が主人公なので戦う意義などに悩むこともなく、快活な青春ものとして全体が構築されており、アイナ・サハリンやノリス・パッカードといった人気キャラも登場します。

クライマックスのグフ・カスタム無双は名戦闘シーンとして必ず挙げられるほどの凄まじさであり、総じて見やすく面白い作品だと言えます。

機動戦士ガンダムUC(8点/10点満点中)

『亡国のイージス』(1999年)や『終戦のローレライ』(2002年)などの架空の戦記もので有名な小説家 福井晴敏氏の小説『機動戦士ガンダムUC』(2007-2009年)をアニメ化した作品。

タイトルの「UC」は主人公機ユニコーンガンダムと、宇宙世紀の英語表記Universal Centuryのダブルミーニングです。

全7話のOVA形式でリリースされ、後にこれを再編集した22話のテレビシリーズ『機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096』も放送されました。

『逆襲のシャア』の3年後である宇宙世紀0096年を主要な舞台としつつも、宇宙世紀元年からの連綿とした歴史が総括されており、過去作品とのリンケージもかなり意識的に打ち出されています。

特に革新的だったのはほとんどなかったことにされてきた『ガンダムZZ』を正史に引き戻したことで、これにより本作は過去作品の総てを内包したアンカー的な機能を持つに至りました。

話自体が面白い上に、登場するモビルスーツもカッコよく、ビギナーからコアなファンまでを納得させる必見の作品に仕上がっています。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN(8点/10点満点中)

ファーストの作画監督を務めた安彦良和原作のコミックを、全6話のOVA形式でアニメ化した作品。その更に後にはNHKでテレビシリーズとしても放送されたのですが、内容はOVAの再編集版でした。

10年も連載が続いたコミックでは、一年戦争前史からファーストと重複する一年戦争の戦史までが描かれたのですが、当OVAではファースト第一話の直前までがカバーされています。

主人公はシャアであり、それまでは断片的な設定が存在するのみだったその生い立ちを主軸としつつ、一年戦争に至るジオン公国の歴史や、モビルスーツ開発史が並行して描かれます。

ミクロな個人史にマクロな政治劇を織り込んで大きな流れを生み出した圧巻の構成力や、肥大化したファンのイメージを毀損しないキャラ造形の巧みさなど、名作から派生した二次創作物としては破格の完成度を誇っています。

加えて、古い作品ゆえに作画などがしんどい一年戦争を美しい作画で再構築したという功績もあって、ヌルヌルと動くザクの絵には「こういうのが見たかった!」という感動がありました。

機動戦士ガンダムNT (6点/10点満点中)

『機動戦士ガンダムUC』の続編として福井晴敏が執筆した小説『機動戦士ガンダムNT』(2018年)を原作としたアニメ映画。

NTとは宇宙世紀に登場するニュータイプという概念と、物語を意味するナラティブのダブルミーニングとなっています。

行方不明になったユニコーンガンダム3号機フェネクスを連邦軍とネオ・ジオンが追いかける物語を軸として、ニュータイプ論に結論を出そうとする野心作となっています。

ファンでも嫌いな人はとことん嫌いなニュータイプのオカルト路線を極めた作品なので、世評は賛否両論。フェネクスはほとんどエヴァ初号機みたいな状態になっており、リアル・ロボットを求める人は見なくていいと思います。

閃光のハサウェイ(4点/10点満点中)

富野由悠季の小説『閃光のハサウェイ』(1989-1990年)のアニメ化企画で、2021年6月に公開された第一作を皮切りに、三部作が製作される予定となっています。

『逆襲のシャア』の続編的立ち位置にあって、逆シャアにも登場したハサウェイ・ノアを主人公としています。その姓からもお察しの通り、彼はファースト以来の重要人物であるブライト・ノア艦長のご子息です。

連邦軍の伝説的な司令官を父に持つにもかかわらず、ハサウェイはシャア思想を引き継いだ反連邦組織マフティーを率いており、連邦政府高官をターゲットとしつつも民間人を巻き添えにしてもやむなしというテロ行為を働いています。

そんなわけで理念的なバトルが今後の見どころとなってくるのでしょうが、この映画版第一作に限っては本当に序章という感じで見応えがありません。

ハサウェイが地球に下りてきて、その後のライバルとなるケネス・スレッグやヒロインとなるギギ・アンダルシアとの面識を持ち、また宇宙に帰っていくというだけの話ですからね。

クスィーガンダムvsペーネロペーのバトルもあっさりしたものだったし、総じて食い足りない内容でした。

2作目以降の出来次第では評価が反転する可能性はあるものの、現時点では重要作ではありません。

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