ジャドヴィル包囲戦 -6日間の戦い-【8点/10点満点_敗軍の雄姿を描いたドラマ性高い戦争映画】

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戦争
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[2016年Netflixオリジナル作品]

8点/10点満点中

Netflixオリジナルの戦争映画なのですが、これが大変エモーショナルなドラマであり、戦場でのアクションの質も高く、歴史の勉強にもなって、非常に満足度の高い作品でした。

■雁字搦めの国連軍vs百戦錬磨の傭兵軍団

戦争映画は数多くありますが、本作は国連軍の活躍を描いた珍しい作品。ただし、舞台となる1960年において国連には現在のような威光はなく、上層部は米ソからの突き上げを食らう中で政策を遂行しようと苦心し、現場レベルでは紛争地で普通に攻撃を受けるという、世にもあんまりな状態となっています。そんな中で国連軍としてコンゴ内戦へ送り出されるのは、勝ち戦の経験のないアイルランド軍兵士たち。対するは、豊富な鉱物資源が眠るコンゴでの権益を守りたいフランスから送り込まれた百戦錬磨の傭兵軍団。しかも人数は150人vs3,000人という超変則マッチであり、実戦経験でも人数でも劣るアイルランド兵達がこの修羅場をどう乗り切るのかというドラマチックな作品となっています。この設定だけでも燃えさせられますね。

■傭兵軍団のダーティな戦い方

しかも、敵傭兵軍団の戦い方がとにかくダーティ。「わが軍の死体と負傷者を回収させて欲しいので、これからしばらくは発砲しないでね」と紳士協定を結びながら、銃撃が止んでいる隙にコッソリと攻撃部隊を配置して不意討ちを仕掛けてきたり、相手陣地の貯水槽に毒を入れたり、相手方のケガ人が乗せられたヘリを撃墜したりと、とにかくやることがセコくてズルくて最低なので、見ている私も怒り心頭なのです。この見事な悪役ぶりにより、アクションはこの上なく盛り上がります。

■卑怯な役人

さらに、そんな敵以上にアイルランド兵達の足を引っ張るのが、本来は味方であるはずの国連上層部です。前述の通り国連には威光がなかった時期にあって、国連軍本隊が虐殺一歩手前の事件を起こしたことから国連の旗色が悪くなってしまい、これ以上面倒に巻き込まれたくない国連上層部は、たった150人で不利な戦闘を強いられているアイルランド兵達を見捨てることにするのです。熾烈な攻撃にさらされる中で「人と物資を送ってくれ」と言ってくるアイルランド兵達からの無線に適当な返事を繰り返した挙句、いよいよつくウソもなくなってくると無線を無視するという世にもあんまりな行動を取ります。まさにクズ。こういうクズは一回死んだ方がいいよと思うほどのクズっぷりであり、こちらでもやはり盛り上がりました。

■ベストな戦いをした兵士たちに名誉は与えられず

クライマックスはビターなものであり、「勝てば官軍、負ければ賊軍」という言葉を思い知らされる展開を迎えます。人が足りない、弾薬がない、味方からの援護もないと、ないない尽くしの中でアイルランド兵達はベストな戦いをしたものの、残ったのは負けたという結果のみ。その戦いぶりを称賛されるどころかアイルランドの恥扱いを受けます。さらにムカつくのが、送るべき救援を送らず兵士たちに負け戦をさせてしまった彼らの上司達が一切責任を問われることがなく、それどころか後にアイルランドの大臣まで務めたものがいたという事実。責任逃れのうまい奴が世を渡っていくというイヤな現実を突き付けられました。

 

The Siege of Jadotville

監督:リッチー・スマイス

製作:アラン・モロニー、テッド・サランドス、リッチー・スマイス、ケヴィン・ブロドビン

製作総指揮:ジョン・ムーア、ジャスティン・ムーア=レウィ、ポーリン・フィッシャー、セーラ・ボーウェン、ジョハンナ・ホールデン

原作:デクラン・パワー

脚本:ケヴィン・ブロドビン

撮影:ニコラウス・スメラー

編集:アレックス・マッキー

音楽:ジョセフ・トラパニーズ

出演:ジェイミー・ドーナン、ギヨーム・カネ、エマニュエル・セニエ、ジェイソン・オマラ、ミカエル・パーシュブラント、マーク・ストロング、マイケル・マケルハットン

配給:Netflix

公開:2016年10月7日

製作国:アイルランド、南アフリカ

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