アナイアレイション -全滅領域-【6点/10点満点中_良作だが最終的にはB級に落ち着く】

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[2018年Netflixオリジナル作品]

6点/10点満点中

■パラマウントが海外配給権を手放した作品

パラマウントが完成作品に対して「難解過ぎる」との懸念を示したが、プロデューサーのスコット・ルーディンが再編集を拒否して海外配給が白紙に。その後、Netflixが中国を除く地域の海外配給権を買い取って自社メディアで公開したという、何かもう、いろいろ大変だった作品です。

■B級素材を知的で硬派に見せたSF作品

アレックス・ガーランドって『28日後…』やら『サンシャイン2057』やら『ジャッジ・ドレッド(スタローンじゃない方)』やら、どこかで見たことあるようなB級SFの素材を高尚にリメイクすることを得意とする人であり、例に漏れず本作も未知の生態系に挑むチームという『ディセント』や『地獄の変異』によく似たB級素材を扱いつつも、非常に知的で硬派な形でリメイクすることに成功しています。

また、失踪した前チームの痕跡を辿りながら真相へ迫るという物語もSFホラーとしては一般的であり、基本的な部分はジャンルの王道に徹しています。

■アレックス・ガーランドの長所が発揮された見せ場

この人の凄いのが空想の産物をそれっぽく見せる技術がとても高いことであり、生きている人間の腹を切り開くと別の生物のように変貌した内臓がグニョグニョ動いているところとか、捕食した人間の声帯が備わった熊とか、植物に進化した人間とか、思い出しながら文字で書いてみると「なんじゃい、これ」と思うようなクリーチャーを、とても説得力のある形で見せてきます。

また、プロフェッショナリズムへのこだわりもガーランドの作風です。『サンシャイン2057』辺りでは顕著でしたが、驚くようなことが起こっても取り乱す人間はおらず、登場人物達は論理的に導かれる最善の選択肢をとり続けるので、見ていて余計なストレスがありませんでした。本作も同じくで、登場人物達は全員インテリ揃いの上に従軍経験も持つ女性達なので、ギャーギャー騒ぎながら自ら危険を呼び込むような展開がありませんでした。これって結構ポイント高いと思います。

■一筋縄ではいかないドラマ

主人公の動機付けも面白いと感じました。レナは夫を救うためにこのミッションに参加したように見えていましたが、物語が進むにつれて、実はそうではなかったことが明らかになっていきます。

ジェニファー・ジェイソン・リー演じるヴェントレスの「多くの人は自殺をしない。自滅をするのだ」というセリフがあります。レナは夫を愛していたにも関わらず、一方で愛してもいない黒人の同僚と不倫をしており、そもそも破滅願望のある人物でした。ヴェントレス風に言えば自滅をしている人間です。

しかし、夫が社会的にほぼ死んだ扱いになり不倫という悪徳も成立しなくなったことから相手への関心も薄くなり、破滅願望を充たす手段を失ったレナは、死ぬ覚悟で挑まねばならないこのミッションに志願したというわけです。彼女は何のためというわけでもなく、おそらく無自覚のうちに死に場所を求めてここへ来ていたのです。この世界の異常さに怯んだ他のメンバー達が帰ろうと主張しても、彼女は前へ進むことをやめません。末期がんに侵され、こちらは自覚的に死に場所を求めてきたヴェントレスに同調するわけです。

「死を覚悟せねばならないミッションに参加するのはどんな人間なのか」という点を徹底的に追及した答えがこうしたレナのキャラクターだったと思うのですが、前半で提示されたドラマ性を後半で一気に崩すという裏切り方は斬新だし面白いと感じました。

■丁寧に作られてはいるが、観客に満足感を与えるもう一押しが足らない

ただし、全体的には大きな流れを作れていないし、中盤までの変化球の素晴らしさから期待されるほどのオチがなかったという点がボトルネックとなっています。結局、『地獄の変異』と同じところに行き着くのですから。最後に物凄い仕掛けがもうひとつあれば見違えたと思うのですが。

Annihilation
監督:アレックス・ガーランド
脚本:アレックス・ガーランド
原作:ジェフ・ヴァンダミア
製作:スコット・ルーディン,アンドリュー・マクドナルド,アロン・ライヒ,イーライ・ブッシュ
製作総指揮:ジョー・バーン,デヴィッド・エリソン,デイナ・ゴールドバーグ,ドン・グレンジャー
出演者:ナタリー・ポートマン,ジェニファー・ジェイソン・リー,ジーナ・ロドリゲス,テッサ・トンプソン,ツヴァ・ノヴォトニー,オスカー・アイザック
音楽:ベン・ソーリズブリー,ジェフ・バーロウ
撮影:ロブ・ハーディ
編集:バーニー・ピリング
製作会社:スカイダンス・メディア,DNAフィルムズ,スコット・ルーディン・プロダクションズ
配給:パラマウント映画(アメリカ、中国),ネットフリックス(その他の国)
公開:2018年2月23日(アメリカ),2018年3月12日(日本)
上映時間:115分
製作国:アメリカ,イギリス

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