トマホーク ガンマンvs食人族【7点/10点満点中_ジャンル横断型ウェスタンの成功例】

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[2015年アメリカ]

7点/10点満点中

前半は意外なほどに王道のウェスタン

カート・ラッセルが『ヘイトフル・エイト』と同年に出演したウェスタンなのですが、ヤケクソとしか思えないB級感溢れる邦題で危うくスルーしかけていたものの、これがなかなか味のある映画でした。

内容は、女医さんが先住民にさらわれたので、その旦那さん・保安官・保安官助手・ガンマンが捜索隊を組むという西部劇としては実にオーソドックスなものであり、展開の遅さこそ気になったものの(捜索隊の出動まで40分、救出に入るまで90分)、人物描写が意外なほど丁寧で『トゥルーグリッド』や『3時10分、決断のとき』を見ているような感覚さえ持ちました。同時に、いつ誰に襲われるか分からないという荒野の緊張感も全編に散りばめられており、実績のない監督による低予算映画にこれだけの俳優が集まったのは、純粋に作品の出来が良いからなのだろうと思います。

『フロム・ダスク・ティル・ドーン』並みの転調

そして『ガンマンvs食人族』は突然訪れました。女医さんをさらったのは食人族だったという急転直下の展開を迎え(タイトルでこれをネタバレさせた日本の配給会社のアホ!)、ジャンルは突然Z級ホラーへと転換します。誇張ではなく本当に食人族を登場させるという力技を見せるのですが、味わい深かった前半部分との間で断絶は起こっておらず、ちゃんと一本の映画として成立させたサジ加減は評価に値します。

炸裂するグロ描写

食人族の設定や描写における容赦のなさは徹底しています。ストックしておいた人間を裸にして腹を裂いて一丁上がりみたいな解体作業が実に手際よく披露されるのですが、理に適っているように見える解体プロセスや、作業をする食人族3人の阿吽の呼吸など、この人達は何世代もこうして生きてきたんだなという伝統までを感じさせられました。生きている人間をただ貪り食ってるだけの他作の食人族達とは明らかにレベルが違うのです。

こちらもまた、食人族による解体や調理を丁寧に見せた秀作です。

また、ラストにワンシーンだけ登場する妊婦さん達の描写もかなりパンチが効いています。四肢すべてが切断されて両目には木の杭が打ち込まれ、ただ腹が膨れただけの肉の塊と化したその姿のインパクトは絶大。また、主人公の女医さんは食用ではなく繁殖用として捉えられていたかのような描写が中盤にあったことから、救援が遅れていれば彼女もこの状態になっていたかもしれないと思うとゾっとします。

さらに、まったく余裕のない主人公達はこの妊婦さん達を救出しようとは1秒も考えずに見殺しにするのですが、食人族が全滅した今、この妊婦さん達は為す術もなく餓死していくのだろうと思うと背筋が凍りました。

見て損のないB級の良作

ジャンル横断的な作品でありながら破綻なくまとめられており、またウェスタンとしてもホラーとしてもよく作り込まれている作品です。B級ゆえに過大な期待は禁物であるものの、見て損はない映画だと思います。

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