フリー・ガイ_人気コンテンツを潰すバカ社長【6点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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(2021年 アメリカ)
ゲームの世界を舞台にしたハチャメチャアクションとしては面白いのですが、現実世界で人気を博し始めた主人公ガイを、ゲーム会社社長が消し去ろうとするという不可解な行動のために、後半は疑問符の嵐でした。バズったキャラでのもうひと儲けを考えるのが経営者でしょ。

感想

バーチャルならではの何でもアリ映画

ゲームの世界の中で起こる話と聞いて、まず思い出したのがスピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』(2018年)、あとバーチャル・リアリティにまで設定を広げると『マトリックス』(1999年)ですね。

これら仮想世界を舞台にした作品の醍醐味とは、重力法則やリアリティを無視してひたすらに「カッコいい」を追求できることにあり、本作の見せ場もその方向性で頑張っています。

フリーシティと呼ばれる舞台で、プレイヤー達は「グランド・セフト・オート」のように暴れるわけですが、市街地でマシンガンをぶっ放すわ、一般道を戦車が通り抜けるわ、ビルの谷間を戦闘機が飛び交うわと、見てくれのカッコよさが徹底追及されています。

こうしたバカバカしくもカッコいい見せ場の数々にはテンションが上がりましたね。このジャンルに要求されるクォリティを本作はちゃんと満たしていると言えます。

ゲーム会社の社長が阿呆すぎる

お話の方はというと、自分の住む世界がバーチャルであり、すべて作り主に決められたとおりの行動をしていることに気付いた主人公ガイ(ライアン・レイノルズ)が、自分の人生を生きるための挑戦を起こすという、こちらは『トゥルーマン・ショー』(1998年)と似通った話になっています。

最終的に海の向こうにある世界の境界線を目指すことになるという点でも共通しており、本作が『トゥルーマン~』の影響下にあることはほぼ間違いないと言えます。

その『トゥルーマン・ショー』で私が不満に感じたのは、世界の嘘に気付いた主人公の起こすイレギュラー行動によって視聴率が爆上がりしたのに、作り手のエド・ハリスがトゥルーマンの行動を止めようと躍起になり始めるということ。

テレビマンであれば視聴率が何より大事な指標であり、それが上がっているのだから、むしろハプニングを誘発する方向に振り切れなきゃおかしいのに、そのウケた要素を潰そうとすることが不合理でした。

では本作はどうかというと、残念なことに『トゥルーマン・ショー』のエド・ハリスと同じ失敗を犯します。

ゲーム会社社長のアントワン(タイカ・ワイティティ)がその立場にいるのですが、モブキャラの一人が変な動きをしているということが世界的に話題になったのに、そのガイを消そうと躍起になります。

でも、普通の経営者なら逆のことを考えますよね。キャラの人気に火が点いたのなら、そのキャラをフィーチャーしてもう一儲けを考えるわけですが、なぜそのドル箱を消し去ろうとするのか。

近日配信開始予定の『フリー・シティ2』へのSNS上の反応がガイに喰われているからという理由は一応説明されるのですが、だからと言ってガイを消すのではなく、2にもガイを出すという形で続編のプロモーションをすればいいわけです。

その後、ガイを正常化するためにゲームをリセットをしたり、サーバーを破壊しようとしたりと、ユーザーにダイレクトに迷惑をかける行為をし始めて、自らゲームの評判を落としにかかります。

本当に経営者なのでしょうか。

このゲームには知財問題が絡んでいるので隠蔽したいという背景こそあるものの、そんなものはビジネスライクな話し合いで解決すればいいのです。2名いる開発者のうち1名は社内に抱えているのだから、交渉する気があればハードルはさほど高くないでしょうに。

顧客が離れていきかねない形での隠滅は本末転倒だし、吉本新喜劇の「ここには誰もおらんでぇ」というギャグと同じで、社長がサーバーを破壊するというありえない行動をとれば、かえってそこに不都合なものがあるとの疑いが深まります。

この阿呆社長の出鱈目な行動のせいで、あまり楽しめない作品となりました。

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