オキシジェン_主人公のウダウダが過ぎる【4点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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(2021年 フランス・アメリカ)
閉鎖空間に閉じ込められた主人公が脱出の道を探るスリラーなのですが、主人公があまりに感情的になりすぎて酸素残量などを無駄にするので、彼女は助かりたいんだか助かりたくないんだかがよく分からなくなってきます。感情的になりすぎると逆に逼迫感が減衰するという好例のような映画。

作品解説

製作の紆余曲折

本作はもともとアン・ハサウェイ主演の予定で進んでいたのですが、製作途中でハサウェイが降板。

その後、ノオミ・ラパスが代役に決定し、ホラー監督のアレクサンドル・アジャがプロデューサー、アジャ製作『P2』(2007年)のフランク・カルフンが監督に就任しました。

しかしラパスもカルフンも降板し、代役として『イングロリアス・バスターズ』(2008年)のメアリー・ロランが主演し、アジャが監督を引き継ぎました。

感想

感情移入できない主人公

主人公が目を覚ますと狭い場所に入れられており、ここはどこなのか、一体どうやって脱出するのかに制限時間内にたどり着かなければならないというスリラー。

ライアン・レイノルズ主演の『リミット』(2010年)やスティーヴン・ドーフ主演の『ブレーキ』(2012年)など、10年前にはちょっとだけ流行したジャンルでした。

さらに本作には自分が誰だかすら分からないという制約条件まで加わっており、AIとの対話や外部との通話の中で主人公は真相にたどり着こうとするのですが、これが驚くほど面白くならないので恐れ入りました。

なぜこんなにつまらないのかと考えると、主人公エリザベス(メラニー・ロラン)への感情移入が難しいことが原因ではないかと思います。

目覚めた直後からポッドの酸素残量は1/3以下となっており、彼女にはまったく余裕がありません。AIからは「呼吸を浅く」などとアドバイスされているにも関わらず、エリザベスは感情的になって大声を出したり泣き叫んだりして酸素の無駄遣いをするものだから、見ていてイライラさせられます。

取り乱したくなる気持ちはわかるけど、生きるか死ぬかがかかっている場面で自分を抑えることすらできないのかと。

で、外部との通話の中で適切なアドバイスを与えてくれそうな相手と繋がるのですが、通話相手が「助けてあげるから落ち着いて聞いて」と言っているにも関わらず、回答に気に食わない部分があるからという理由で通話を切ったりすることも、見ていて不快でした。

今は好き嫌いを言ってられる場面じゃないのだから、気に食わなくても最後まで話を聞いてから判断すればいいでしょと。

「もういいわ、切る」「ちょっと待って、切らないで」という無駄なやりとりで、どれだけ貴重な時間と酸素を浪費してるんだよと呆れてしまいました。

アレクサンドル・アジャの演出は悪くないが…

で、ポッドは一体どこにあるのか、エリザベスはなぜここに閉じ込められているのかが少しずつ明らかになってきて、人類の存亡をかけた壮大な背景を持つ物語であることが明らかになってきます。

これが意表を突かれる展開でなかなか興味深く感じたし、アレクサンドル・アジャはホラー監督ならではの持ち味でSF描写とショック描写を組み合わせてインパクトある場面を作り出します。

そういった意味ではなかなか良い仕事を見ることができるのですが、それら効果的な描写がスポットで終わってしまって驚きの連続という形で展開していかないので、映画としての面白さには繋がっていかないというもどかしさがありました。

で、すぐにまたエリザベスのウダウダが始まるので、もういい加減にしてくれという感じでした。

オチがひどい ※ネタバレあり

最後の最後、ポッド内の酸素残量は数%にまで減少してもうすぐ窒息というところにまで追い込まれるのですが、そこでAIが提案してきたのが、エリザベスをスリープ状態に置いて酸素消費量を限りなくゼロに近づけ、他のポッドの酸素を回せる段階が来たら蘇生するというものでした。

「最初に言えよ」と言いたくなるような解決策ですが、実はAIは最初からこの解決策を提示していたんですね。

AIがしきりに鎮静剤を打ちたがっていたのはこのためだったのですが、「何のために」を説明しないAIと、理由も聞かずに反発するエリザベスとの間でコミュニケーションが成立していなかっただけなのです。

彼らがちゃんと話し合っていれば冒頭で解決していた問題だった。このオチには腰砕けになりました。

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