ブレードランナー2049_前作のドラマを否定した続編【5点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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(2017年 アメリカ)
2049年、ネクサス9型レプリカントのKは、逃亡した旧型アンドロイドを追うブレードランナーとして働いていた。ある日の任務中、地面に埋められていたトランクを発見する。トランクの中身は女性の遺骨であり、出産時の合併症で死亡したものと推測されたが、その遺骨には製造ナンバーが刻まれていた。

©Sony Pictures

荒野を舞台にしたブレードランナー

第一作は作り込まれた未来のロサンゼルスが主人公と言っても過言ではない作品であり、その圧倒的な情報量・VFX技術・映像美には以降のSF映画全般を大きく変えるほどのインパクトがありました。ただし、公開後35年も経ってしまうとかつては新鮮だった未来都市のイメージもすっかり陳腐化してしまい、82年と同一イメージの再提示では現在の観客の期待には応えられないという問題がありました。かと言って前作からかけ離れ過ぎると世界観が繋がらなくなるという別の問題も発生することから、本作はブレードランナーと同じであってはいけないが、違っていてもいけないという困難を抱えた企画でした。

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そこで出した答えが、都市の外側にある荒野のイメージを中心とするという奇策であり、これならば世界観を変えることなくビジュアルを大幅に変えられるというメリットがありました。ここまで豪快なビジュアルイメージの転換を図ってもちゃんとブレードランナーになっている辺りはさすがであり、撮影やデザインの良さがかなり光っています。

充実した新旧キャスト

さらにキャスト面も充実しており、ライアン・ゴズリングはハードボイルドな雰囲気を漂わせているし、アナ・デ・アルマス演じるAI彼女は可愛くて健気で「こんなもん、誰でも惚れるやろ!」というほどの魅力だし、前作のキャストを再登場させるタイミングも良く、レガシーに配慮しつつも、新たなドラマを作り上げることに成功しています。

アナ・デ・アルマス扮するジョイ。惚れてまうやろ!

前作ディレクターズカット版準拠の続編

前述した通り本作の主な舞台は荒野であることから、緑豊かなハイウェイを行く前作劇場公開版のクライマックスとの世界観の連続性は完全に断たれています。また、「デッカード=レプリカント説」を基礎とする物語であることも、デッカードを人間とした劇場公開版との断絶を示しています。本作はリドリー・スコットが製作総指揮を務めていることから、リドリーによる解釈を出発点とした物語となることは必然ではあるのですが、従前は「デッカード=レプリカント説」に反対していたハリソン・フォードがよくこれをOKしたなという驚きはありました。

前作のドラマが否定される内容では?

本作ではデッカードがレプリカントだっただけではなく、レイチェルとの出会いまでがタイレルに仕組まれたものであったという驚愕の真相が明かされるのですが、いやいや、それでは前作がブチ壊しになってしまうだろと、ここで一気に冷めてしまいました。

前作は運命に抗う者達の物語でした。反乱を起こしたレプリカントや鳥かごから逃げ出したレイチェルは、あらかじめ定められていた自分自身の”用途”に反発し、自分の生きる道を探そうとしました。それはデッカードも同じくで、彼はレプリカントを追うブレードランナーでしたが、最後にはレイチェルとの関係を選択してブレードランナーという役割を捨て、追われる身になる決意を固めました。これらはそれぞれの意志で到達した境地だからこそ意義があるのであって、タイレル社長に仕組まれたものとなると前作のドラマ性がほぼ否定されてしまいます。

まとめ

時間をかけて練り上げられた作品なので細部の矛盾はない一方で、大意の部分が前作とまるで整合しておらず、木を見て森を見ないような姿勢で作られた続編だと感じました。

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