スパイダーマン2_良質な青春ドラマ【8点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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マーベルコミック
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(2004年 アメリカ)
予算もVFXもパワーアップした続編ですが、優れたストーリーとキャラクターの大切さも忘れておらず、非常に丁寧に作られた青春ドラマとなっています。サム・ライミの3部作で最高の出来ではないでしょうか。

感想

前作を凌ぐビジュアルの完成度

前作はウェブスイングの迫力こそ革新的だったものの、実写パートとVFXパートの質感に違和感があったり、プレステ並と揶揄された甘い部分が一部にあったりと、完璧な完成度ではありませんでした。

そこに来て本作ですが、前作の欠点はほぼ完全に克服されており、現在の目で見ても文句の付け所がありません。本作はスパイダーマンシリーズで唯一、アカデミー賞視覚効果賞を受賞した作品となりましたが、VFXはそれだけの完成度となっています、

そして、そんなVFXというツールを手にして、サム・ライミのアクション演出も創意工夫全開となっています。

4本の金属アームを駆使するドクター・オクトパスを相手にした格闘では、どの方向から何が飛んでくるかがわからないスリルがあるし、建物の壁を縦方向に使ったアクションで楽しませたかと思えば、電車を使った横方向のアクションも凄い。

よくこれだけ豊かで複雑な見せ場をいくつも作り上げたものだと感動しました。

本作のヴィランは単独だし、しかも滅茶苦茶に強いわけでもないおっさん。破壊の規模は後のMCUに比べると小さなものなのですが、見せ場は規模ではなく創意工夫であるということを思い知らされました。

核にあるのは若者の苦悩

そんな凄い見せ場を構築しつつも、中心にあるのはピーター・パーカー青年の小さな物語。

MJとの約束を守れず、学校の成績も下がる一方。親友ハリーとはギクシャクしてるし、バイトをクビになって家賃も払えない。

ここで描かれるのは等身大の青年の物語であり、前作で大いなる力を責任をもって行使すると誓ったはいいが、バットマンやアイアンマンのように財に恵まれたわけでもないピーターにとって、二重生活が重くのしかかってきます。

本当は遊びたい、デートもしたいのに、サイレンが聞こえればその方向へと走っていかなきゃいけない。

その重圧は次第に彼の心を蝕んでいき、ついには大いなる力までを失ってしまう。

本当にしょっぱい物語なのですが、サム・ライミは適度にユーモアを交えることでこれを重くなりすぎることなく演出し、アメコミ映画として娯楽映画としての範疇を守り続けます。

この塩梅も見事なものでした。

MJ、君は一体どうしたいんだ

そんな地に足の着いたドラマの中で、唯一浮ついていたのが、ヒロインのMJでした。

前作ラストでピーターに告白するも断られたのに、相変わらずピーターへの思いを引きずっています。

ならばピーターに対して一途なのかと言えばそういうわけでもなく、「私の舞台を見に来てくれないのね」と言ってピーターを振り回した挙句に、新しい彼氏ができたと言い出します。

これがピーターを振り向かせるための当て馬かと思いきや、婚約までするのでマジなやつだと思ってピーターは落ち込むのですが、最終的には結婚式をすっぽかしてピーターの元にやってくるのだから、この人は一体何がやりたいんだろうかと思ってしまいます。

この人がもうちょっとしっかりしていればピーターの悩みも随分と簡単なものになったはずで、どうにも浮ついているのでイライラさせられました。

なお、MJ役のキルステン・ダンストは前作の製作中にトビー・マグワイアと交際しており、本作製作時点では二人の関係は終わっていました。元カレとの共演だったというわけです。

また撮影中にマグワイアが背中の痛みを訴え、代役として起用寸前にまでいったのがジェイク・ギレンホールだったのですが、ギレンホールは当時のダンストの恋人でした。

MJ並にダンストも本作ではいろいろあったというわけです。

≪スパイダーマン シリーズ≫
スパイダーマン_前半最高、後半残念【7点/10点満点中】
スパイダーマン2_良質な青春ドラマ【8点/10点満点中】
スパイダーマン3_豪快に破綻した最終章【4点/10点満点中】
アメイジング・スパイダーマン_改悪部分多し【5点/10点満点中】
アメイジング・スパイダーマン2_悪くはないが面白くもない【6点/10点満点中】
スパイダーマン:ホームカミング_バルチャーだけが良かった【5点/10点満点中】
スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム_前作からドラマ断絶しすぎ【5点/10点満点中】
スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム_面白いけど微妙な部分も【7点/10点満点中】

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