ヴェノム3:ザ・ラストダンス_エンドクレジット長すぎ【5点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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マーベルコミック
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(2024年 アメリカ)
一人二役のトム・ハーディの掛け合いは相変わらず楽しいし、ラストでは感動したのだが、脚本の出来がイマイチなので映画としての完成度は低い。次につなげる要素満載で最終作らしさがほとんどないのもどうかと思った。

感想

主演もいい、キャラもいいのに、毎回何かが物足りない『ヴェノム』シリーズ。

だけど第3弾にしてシリーズ最終作の本作に限っては、前2作からは打って変わって公開前より好調な批評家レビューが聞こえてきていたので、先行ロードショーで見て来た。

場所はいつものT-joy PRINCE 品川。ここのIMAXは異常に大きくて最高だ。

さすがは人気シリーズの最終作だけあって、客入りは上々だった。混み合った劇場の熱気は大好きだ。

というわけで、鑑賞環境的には申し分なかったのだけど、肝心の映画は相変わらずイマイチだった。個人的にこのシリーズとの相性は良くないのかもしれない。

ヴェノムことエディ・ブロック(トム・ハーディ)は、前作『レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021年)でかけられたマリガン刑事殺害容疑で逃亡中なのだが、彼を追うのは警察だけではなかった。ストリックランド将軍(キウェテル・イジョフォー)率いる謎の特殊部隊、そしてシンビオートの創造神ヌルもまた、彼らを追っていた。

キウェテル・イジョフォーはMCUでドクター・ストレンジの兄弟子をやってたような気がするんだけど、ユルく世界観の繋がった本作で、まったくの別キャラとして登場して大丈夫なんだろうか。

彼の演じるストリックランド将軍は、これまた分かったような分からんような男だった。

彼が率いる特殊部隊はシンビオートを追っており、とりわけストリックランドは任務に対して強い思い入れを持っている様子なのだが、特殊部隊の正体も、その目的も、ストリックランドの背景も、はっきりと説明されるものは何一つない。

そしてストリックランドはゼーレみたいな謎の機関に操られているのだが、指令室から指示を出しているリーダーらしき人物は後ろ姿で描かれるのみで、これまた何者だかよく分からない。

今後の拡張が予定されているソニー・スパイダーマン・ユニバース(略してSSU)で徐々に正体が明かされていくのだろうけど、本作単体で見ると実に中途半端だ。

中途半端と言えば創造神ヌルも同じく。

ヌルはシンビオートを生み出した創造神にして、この宇宙よりも古くから存在する邪神。

シンビオート達の裏切りに遭って奈落に閉じ込められているのだが、前作にてヴェノムより生み出された”コーデックス”が奈落から解放される鍵になるとのことで、これを奪うため手下の化け物を地球に送り込んできた。

ヌルはMCUにおけるサノスのようなスーパーヴィランになっていくのだろうけど、本作では顔見せ程度で終わるので拍子抜けした。

この通り、本作はヴェノムシリーズ最終作と言いつつも、実際にはSSU本格始動に向けた準備編のような性格の方が強いので、どうにもスッキリ見ることができなかった。

一方、トム・ハーディが一人二役を演じてのエディとヴェノムの掛け合いは相変わらずの楽しさで、二人が追撃をかわしつつNYを目指すという物語はロードムービーの色合いを濃くする(劇中でも『テルマ&ルイーズ』のタイトルが言及される)。

なのだが、しつこく繰り返されるエディの靴ネタなどは作り手が意図したほど面白くはなっておらず、ギャグは全体的にスベり気味だった。第一作を劇場で見た時の方が笑い声が多かったと思う。

道中、エディ&ヴェノムは宇宙人マニアのマーティン一家の車に拾われるのだけど、これだけヒーローだのヴィランだのが暴れている世界で「宇宙人はいるはずだ」とか言ってるマーティンの存在がよく分からなかったりで。

サノス騒動があったんだから宇宙人の存在は常識に近いだろ、こいつは何を言ってるんだと思いながら見てたんだけど、そういえば序盤でエディ&ヴェノムが別のユニバースから戻ってくる描写があったので、ここはアベンジャーズもサノスも存在しないユニバースってことなんだろう。

そういえばスパイダーマンも『ノー・ウェイ・ホーム』のクライマックスでMCUからは切り離されたユニバースに飛ばされていた。

「やっぱりあれはなかったことで」が自由にできてしまうので、マルチバースは嫌いだ。

エリア51でのヌルの手下vsシンビオート軍団が最終決戦となるのだけれど、飛行機のエンジンに吸い込まれてバラバラにされても再生するほどの生命力を持つヌルの手下に対して、物理攻撃を仕掛けるシンビオート軍団が無意味に思えたりで、これまた熱くなれなかった。

そもそも、ヴェノムがおばちゃんとダンスさえしなければヌルの手下に居場所を知られることもなかったわけで、総じて脚本の出来はよろしくない。

最後の最後は結構感動したけれど(隣の席の若いお姉ちゃんは泣いていた)、序盤でストリックランドに採取されたシンビオートの断片が残ってるので、どうせヴェノムは復活するんでしょと思うと、ちょいと冷めてしまった。

アメコミ恒例のおまけシーンは、ミッドクレジットとポストクレジットの2つ挿入されるんだけど、異常に長いエンドロールを見ないとポストクレジットに辿り着けないのは厳しかった。

ハリウッド映画のエンドクレジットは長くなる一方だが(最近では弁当屋の名前まで入ってるらしい)、そろそろ抑制してほしいところだ。

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