バンブルビー_測ったようにつまらなくなっていく【6点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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キャラもの
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(2018年 アメリカ)
18歳のチャーリーは廃品置き場で黄色いビートルを見つけるが、それは傷つき記憶を失ったトランスフォーマー・バンブルビーだった。二人は友情を深めるが、政府機関とディセプティコンがバンブルビーを探していた。

6点/10点満点中 序盤は最高なのに、どんどんこれじゃない方向へと進んでいく

幸福感しかなかった冒頭の惑星サイバトロン戦

男子が憧れたロボット大戦争

作品はいきなり惑星サイバトロンでの最終決戦から始まりますが、出張先の地球で数十体のトランスフォーマーがド突き合うのが関の山だった従前シリーズの見せ場を一気にフライングした、男子感涙の見せ場が繰り広げられます。

コンボイ、ラチェット、アイアンハンドらお馴染みの面々が勢揃いしているのですが、ビークルのバリエーションが多く機動力の高いデストロン(ディセプティコンではなく、あえてこう呼びます)に対して、車しかいないサイバトロン(オートボッツではなく、あえてこう呼びます)はどんどん押されていき、最終的に前線を捨てて退却します。

このロボット大戦争の壮絶さや、なぜサイバトロンがデストロンに押されていたのかが一目瞭然となる説得力など、あらゆる面で百点満点の見せ場でした。

デザインがタカラで売ってたやつに戻ってます!

ベイ版のトランスフォーマーではキャラクターが実写用にアレンジされており、タカラで売っていたおもちゃと同じ姿のものはほとんどいなかったのですが、本作ではちゃんと昔の姿に戻っていますよ!私の頭の中では「♪トラ~ンスフォ~マ~」というCMソングが流れました。

オプティマス・プライムはコンボイ司令官と呼びたくなるお姿だし、喋るとマスクがモゴモゴ動くというアニメ版の動きまでを完全再現。また、子供の頃に一番のお気に入りだったサウンドウェーブもまさかのラジカセの形をしています。ラジカセのトランスフォーマーが強いのかと思われるかもしれませんが、彼はデストロン幹部にして組織のNo.2とも言われたほどの実力者。エフェクトのかかった声とクールな態度が死ぬほどかっこよかったのです。

そして本作ではデストロン幹部、というかこの時期はメガトロンがセクター7によってフーバーダムの地下で冷凍保存されていたはずなので組織の暫定トップとして現場の指揮をとっており、序盤ではコンボイを追い込みます。まさか、2019年に映画館でサウンドウェーブの大活躍を見られると思っていなかったので、感動しかなかったです。

ちなみに、アニメ版ではサウンドウェーブが操るカセットロン(カセットが変形する小型ロボット)にコンボイはやたら弱いということがファンの間で半ばネタになっていたのですが、本作でもそのネタをちゃんと引継ぎ、コンボイにカセットロンが襲い掛かる場面がちゃんとありました。こういう細かい気遣いは良いですね。

コンボイ司令官でしかないオプティマス・プライム
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素晴らしい3D

話はボロボロでも3Dには気合の入っていた従前シリーズの良き伝統を本作も引き継いでおり、3D効果が意識されたアトラクション性の高い見せ場が連続します。私はIMAX 3Dで鑑賞したのですが、直近の『アリータ:バトル・エンジェル』と並んで、3Dで見て本当に良かったと思える作品でした。

高さの表現には特にこだわっており、序盤のバンブルビーvsブリッツウィング戦でバンブルビーが崖からぶら下がる場面や、クライマックスでチャーリーがクレーンを登って電波塔に飛び移る場面などは、土踏まずがゾワっとするほどのスリルでした。

中盤からは少女とロボットのドラマ

ドラマパートはモロにスピルバーグ

危機また危機の序盤が終わって本筋に入ると、友好的な宇宙人と少年少女の出会いという、まんまスピルバーグの作風となります。『ストレンジャー・シングス』『レディ・プレイヤー1』『パワーレンジャー』と、最近はSF映画に80年代の要素を加えることが流行ってますからね。

ヘイリー・スタインフェルド扮する主人公・チャーリーは高校生。愛する父は他界し、今は母の再婚相手を含めた家族4人で生活しているものの、父の死を乗り越えられていない上に多感な年齢ということもあって、『アルフ』を見ながらディナーを食べる家族団らんには馴染めていません。加えて学校でも目立った存在ではなく、自分には居場所がないという感覚がバンブルビーを受け入れる素地になっているという設定は合理的でした。まんま『E.T.』のエリオットなんですけどね。

本作のチャーリーが『E.T.』におけるエリオットだとすると、バンブルビーはE.T.。戦士としての記憶をなくした上に言葉も発することができなくなり、イノセンスな存在となったバンブルビーはまんまE.T.でした。擬人化の方法までがE.T.でのスピルバーグ演出と似ており、本作は『E.T.』です。

記憶喪失系には食傷気味

そういえば、ここのところ記憶喪失系の映画が連続していますね。『アリータ:バトル・エンジェル』『キャプテン・マーベル』と、映画館に行くたびに記憶喪失の主人公に付き合わされているような気がします。数日前に『キャプテン・マーベル』を見たところなので、バンブルビーの話にはなかなか気乗りがしなかったのが残念でした。

また、記憶喪失によって性格までが変わり、『心の旅』のハリソン・フォードみたいな幼児帰りするというキャラ造形もどうなのかと思いました。記憶は失っても精神年齢はそのままじゃないのと思うのですが。

ドラマが中弛みしている

基本的なストーリーラインは王道を踏まえたものなので意外性がなく、式次第通りに進んでいく話を答え合わせ感覚で眺めるという作業は少々しんどかったです。

加えて、ちょっと嫌味を言われたことでチャーリーが学園のマドンナに復讐したり、バンブルビーがハイウェイパトロールとカーチェイスをしたりといったちょいワルなエピソードが挿入されたりするのですが、いずれもがちょいワルのレベルを超えているような気がして笑えませんでした。

序盤を越えられていないクライマックスの戦闘

ドラマに飽きてきたところでようやくシャッターとドロップキックがバンブルビーを発見してくれて、再度戦いが始まります。

ただし、戦いは3台のトランスフォーマーとセクター7の車両が何台か絡むだけの比較的小規模なもので、序盤でのサイバトロン戦の物量には及んでいないし、舞台が平板なので上へ下へと目まぐるしい舞台の移動で呆気にとられたバンブルビーvsリッツウィング戦の技巧には及んでいません。加えて、戦いがどうなるのかは読めてしまうという問題もあり、本編中で一番つまらない見せ場をなぜクライマックスに持ってきたんだろうかと思いました。

いろいろと不整合が多い

正規シリーズとの整合がとれていない

『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』並みに正規シリーズとの整合がとれていない作品となっています。

セクター7がフーバーダムを拠点としてトランスフォーマー研究をしているという設定は第一作を引き継いでいるのですが、第一作では氷漬けのメガトロンをチマチマと研究しているのみで、動くトランスフォーマーはまだ見たことがないようだったのに、20年遡る本作時点でシャッターとドロップキックと接触し、コミュニケーションもとっていたのでは、第一作と繋がらなくなってしまいます。

加えて、オプティマス・プライムが地球に来たのは第一作の中盤だったはずなのに、本作のクライマックスでバンブルビーと合流したのでは辻褄が合わなくなってしまいます。

地球に来る前から地球の文化・技術が反映されている

上記の通り、惑星サイバトロンでのロボット戦は最高だったのですが、設定的にはおかしいんですよね。トランスフォーマーは地球にやってきた際に人類のビークルをスキャンし、それに擬態するという設定が置かれています。第一作でオプティマスが地球にやってきた際にはプロトフォームといって銀色の機械生命体のような姿をしていましたね。あれです。惑星サイバトロンでは全員がプロトフォームじゃないとおかしいんですが、すでに人類のビークルの形になっているのはどうなんだろうかと。

オプティマスのプロトフォーム

あと、バンブルビーの主観ショットでは英語でアラート表示などがなされるのですが、正規シリーズの設定では彼ら独自の言語や文字があったはずなのに、人類との接触前から英語を使っているのはいかがなものかと。こういう不備って夢中になっている内には目に入らないものなんですが、映画に飽きてくると途端に気になり始めますね。

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