ウィッチャー(シーズン2)_面白くなってまいりました!【8点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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ファンタジー
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(2021年 アメリカ)
前シーズンを壮大な序章として、本シーズンより壮大な物語が幕を開けます。圧巻のビジュアル、深化されたドラマ、権謀術数渦巻く政治劇、残された多くの謎と見所が多く、異様なまでに面白いシーズンとなっています。

登場人物

ゲラルトと仲間達

  • ゲラルト(ヘンリー・カヴィル):前シーズンラストでようやく出会えた運命の子シリの隠れ家を探しており、第一話では旧友ニヴェレン(クリストファー・ヒヴュ)を頼ろうとしたものの失敗。やむなく、ウィッチャーの故郷ケィア・モルヘンに身を寄せることにします。
  • シリル(フレイヤ・アーラン):愛称シリ。多くのものを失ったためか強くなることを望んでおり、ケィア・モルヘンではウィッチャーの剣術などを習い始めます。本シーズンでは古のエルフの血筋であることが判明し、それに伴いシリル争奪戦も激しさを増して、うかうか修行もしていられない状況になります。
  • イェネファー(アーニャ・シャトラ):前シーズンラストで禁じられた炎の魔法を使った反動か、魔法が使えなくなっています。ソドンの丘の戦い後はニルフガード軍に捕虜にされ、その後エルフに捕らえられた後に解放。いったんはアレツザに戻るのですが、戦い後に行方をくらましていたことから敵と内通しているのではないかとの疑いをかけられます。捕虜にされていたニルフガード兵 カヒルを処刑して協会に対する忠誠を示せと迫られたことから協会内に漂う不穏な空気を察知し、カヒルを連れて逃亡。魔法学院の同期フリンギラのいるニルフガード領シントラを目指します。
  • ヤスキエル(ジョーイ・ベイティ):吟遊詩人としては成功したようで、街を歩けば顔のさすタレントのようになっています。裏側では迫害を逃れてニルフガード領シントラを目指すエルフたちの密航の手助けをしており、その過程でシントラを目指すイェネファーと再会します。

ケィア・モルヘン

  • ヴェセミル(キム・ボドゥニア):ケィア・モルヘンのリーダーで、最長老のウィッチャー。ゲラルトの師匠であり、シリの血でウィッチャーの再興が可能であることを知って、その実現を希望します。
  • エスケル:ゲラルトの友人のウィッチャーだが、実は木の怪物に乗っ取られ、シリを狙っています。

アレツザ

  • ヴィルゲフォルツ(マヘシュ・ジャドゥ):武闘派魔法使い。魔法協会幹部達の反対を押し切って出征したソドンの丘の戦い後には北方での評価が爆上がりしており、このまま魔法使い協会での主導権を握ろうとしています。実はティサイアと恋愛関係にあります。
  • ティサイア(マイアンナ・バーリング):魔法使い養成学校アレツザの学長。ヴィルゲフォルツ共々魔法使い協会内での評価爆上がり中で、真の英雄であるイェネファーに対して「勢いのあるヴィルゲフォルツに武勲を譲って欲しい」との依頼をします。
  • トリス(アナ・シェイファー):テメリアの宮廷魔術師。ソドンの丘の戦いでは大やけどを負ったものの、何とか生還。アレツザで療養した後、シリの魔法を訓練するためにケィア・モルヘンに移動します。
  • ストレゴボル(ラース・ミケルセン):シーズン1では協会幹部として絶大な発言力を行使していましたが、ソドンの丘の戦いに反対したことから何となく立場が悪くなってきており、本シーズンでは空気同然の存在感となっています。

エルフ

  • フィラヴァンドレル(トム・キャントン):一応エルフ王ではあるが、失敗続きのために権威は失っている様子。
  • フランチェスカ(メシア・シムソン):エルフの魔法使いで、フィラヴァンドレル王に代わって実質的な指導者の役割を果たしています。エルフ差別の激しい北方王国と戦争状態にあるニルフガード王国を、敵の敵は味方論理で頼ることにし、ニルフガード領シントラに身を寄せます。長年誕生してこなかったエルフの赤ちゃんを妊娠中。
  • ダーラ:前シーズンでシリと行動を共にしていたエルフで、現在はレダニア王国で捕らえられています。その後、レダニアの宮廷魔術師ディクストラの命を受けて、スパイとしてニルフガード領シントラに潜入。

ニルフガード王国

  • フリンギラ(ミミ・ンデェウェニ):ニルフガード王国に使える魔法使いで、ソドンの丘の戦いで敗走中にエルフに捕まります。そこでエルフの魔法使いフランチェスカとの面識を持ち、ニルフガードとエルフの同盟を進めることにします。
  • カヒル(エイモン・ファーレン):前シーズンでシリを追っていた黒い羽根兜の騎士で、ソドンの丘の戦い後はアレツザで捕虜になっていました。イェネファーの助けで逃走後にニルフガード領シントラに辿り着いたのですが、不在中にフリンギラが進めていたエルフとの同盟路線には否定的な様子。
  • エムヒル:通称「白炎」。ニルフガード皇帝で、これまで謎の存在でしたが、ついニルフガード領シントラで姿を見せます。

その他

  • ヴァレス・メイア:通称「不死なる母」。古来から生息する魔物で、初期のウィッチャー達により小屋に封じ込められていたのですが、シリを器に使っての復活を目論んでおり、イェネファーを利用してシリに迫ろうとしています。
  • ディクストラ(グレアム・マクダヴィッシュ):レダニア王に仕える魔法使い。エルフとニルフガードの同盟を警戒しており、国内で捕らえていたエルフ青年ダーラをスパイとしてニルフガード領シントラに送り込みます。
  • リエンス(クリス・フルトン):禁断の炎の魔法使い。シントラのキャランセ女王によって牢獄に閉じ込められていたのですが、何者かの命を受けた魔法使いリディアにより解放され、現在はシリを追っています。彼らを操っているのが一体誰なのかは現時点で不明。

感想

ついに本編開始!

前シーズンは壮大な序章といった感じで、本シーズンよりいよいよ本筋が開始。この世界の覇権を巡る戦いと、そのカギを握るシリの争奪戦が本格化します。

北方への版図拡大に乗り出したニルフガード王国はソドンの丘の戦いで失った兵力の補強を必要としており、北方諸国での差別に苦しむエルフとの目的の一致を見て、同盟を締結。ただしエルフとニルフガード軍は「敵の敵は味方」論理で結びついているだけなので、足並みは揃いません。

この辺りゴタゴタは連続ドラマらしくて面白かったですね。時間制約のある映画とは違い、くっついたり離れたりの微妙な関係性を描けるのが連続ドラマの強みなのです。

前シーズンでヒールだったニルフガードの騎士カヒルが、本シーズンではイェネファーと共に逃亡するので「案外良い奴では?」と思えたり、でもニルフガード領シントラに到着すればまた嫌な奴に戻ったりといった動的なドラマも面白かったです。

イェネファーはイェネファーで、ソドンの丘で見せた圧倒的な魔力の反動か魔法を使えなくなっており、普通にピンチに巻き込まれるようになったので逃走劇の緊張感が高まりました。

凡人に戻ったことで謙虚さも増し、トゲトゲしていた前作と比較して好感の持てる人物になっていたことも、ドラマの面白さにつながっています。

燻ぶり始めた火種

また『ゲーム・オブ・スローンズ』のような権謀術数渦巻く物語が始まったことも、本シーズンの魅力となっています。

ソドンの丘の戦いへの対応を巡り、魔法協会ではそれまでの権力者だったストレゴボルが立場を悪くし、その隙を突いてヴィルゲフォルツとティサイアが影響力を拡大しようとしている。

双方、何か裏がありそうな中で繰り広げられるパワーゲームからは、今後えらいことが起こりそうな香りがぷんぷんしてきます。

レダニア王に使える魔法使いディクストラはシントラにスパイを送り込むのですが、こちらもまた何を目論んでいるのか分からない怖さがあります。

そして、シリを追ってくる炎の魔法使いリエンスが誰に雇われているのかが分からないし、ニルフガード王国がなぜシリを追っていたのか、また版図拡大の目的は一体何なのかもいまだ見えてきません。

こうした数々の謎が物語の大きな”引き”となっており、「早く続きが見たい!」という思いに容赦なく駆られます。

今回の見せ場はモンスターハント

そんなわけで政治面では水面下の駆け引きが中心であり、シーズン1のような大規模な合戦は起こらないのですが、その代わりにウィッチャーと怪物のバトルにやたら気合が入っています。

バンパイアに狼男、巨大な木の怪物や異世界の肉食トカゲなど、バラエティに富んだモンスターが次々登場するのですが、そのデザインといい、これを表現するVFXのレベルといい、完全にシーズン1を上回っています。

中でも驚いたのが足の生えたビグザム状の小屋で、冗談のようなルックスでありながらもきちんと恐怖心や威圧感を抱かせる、圧巻の表現が施されています。これにはビックリでした。

またウィッチャーとのバトルではそれらの怪物の特性がきちんと織り込まれていて、その戦いには実に見応えがあります。アクション映画として実に充実しているのです。

最後のあの人は誰だったのか ※ネタバレあり

そうして最後の最後に姿を現すのがニルフガード皇帝エムヒル。

このシリーズの悪い点として、キャラクターの登場のさせ方が悪くてサプライズが機能しないということがあるのですが、ではあれは一体誰だったのかというと、シリの父親であるダニーです。

シーズン1でハリネズミの顔をしていた男で、その時点では先代のシントラ国王の命を偶然救った下級騎士という触れ込みでした。そして海難事故でパヴェッタ王女共々死亡したとされたのですが、実は生存していたのです。

そんなダニーがニルフガード皇帝だったことで推測されるのは以下二つのシナリオ。

一つ目は、当初よりシントラ王家に入り込む意図を持ってパヴェッタ王女らに接触しており、その周到な計画を実行しているというもの。

二つ目は、パヴェッタ王女との結婚までのストーリーに嘘偽りはないが、シントラ王家に入り込み、自分の娘であるシリの特殊な能力に気付いたことで、壮大な計画を思いついたというもの。

海難事故を装って姿を消し、ニルフガード皇帝という地位を得て本格的な活動を開始したというわけです。

いずれにせよ、今後のストーリーは彼が大きく動かすこととなるはずで、シーズン3以降への期待が膨らんで膨らんでおしっこちびりそうです。

今度は2年も待たされたくないのですが。

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