バットマン フォーエヴァー_良くも悪くも漫画【5点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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DCコミック
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(1995年 アメリカ)
カラフルに生まれ変わったゴッサム・シティや、アクション重視の作風などは悪くなかったのですが、徹底的に毒を薄められた結果、まともな行動をとっているキャラクターが皆無となり、知能指数が漫画レベルになったことは残念でした。

作品解説

ティム・バートン&マイケル・キートン降板

前作『バットマン リターンズ』(1992年)は一般的には成功と言える成果を出せたものの、それでも第一作と比較すると世界興収が1億5千万ドルも減少しており(4億1134万ドル→2億6682万ドル)、ワーナーは危機感を持っていました。

暗い作風が災いしてマクドナルドからタイアップを断られるなどの問題を認識したワーナーは、第3作は明るい作風でいくよう指示。

元々ティム・バートンは第3作も監督する予定だったのですが、明るい作風でと言われてしまうと対応できないと感じたのか、新しい監督を見つけて自身は製作に回ることにしました。

新監督としてはサム・ライミやジョン・マクティアナンらが検討され、最終的にはワーナーで『依頼人』(1994年)をヒットさせたジョエル・シュマッカーに決定しました。シュマッカーはバートンとは違ってコミックファンでした。

そして主演ですが、こちらも元々はマイケル・キートンが続投する予定だったのですが、バートンの描く暗い作風でないのなら自分が演じる意味がないとして、監督降板に併せて主演も降板しました。

キートン降板を機に製作陣はブルースを若返らせることにし、イーサン・ホークに主演をオファーしたのですが断られました。後にホークは役を辞退したことを後悔する発言をしています。

アレック・ボールドウィン、キアヌ・リーブス、カート・ラッセル、トム・ハンクス、ダニエル・デイ・ルイス、レイフ・ファインズらが候補に挙がった後、『トップガン』(1986年)のヴァル・キルマーに決定しました。

全米年間興行成績No.1

こうしたワーナーのテコ入れは功を奏し、全米興行成績は1億8403万ドルと前作を超え、その年の全米年間興行成績で1位となる大ヒットとなりました。

国際マーケットでも同じく好調で、全世界トータルグロスは3億3652万ドルと、こちらでも前作の記録を大きく上回りました。

感想

カラフルな世界観はイケる

原作が出版された1940年代のノワールを意識した前作までからは一転して、ゴッサムシティはハイテク都市となり、色合いもカラフルになりました。

夜でもピンクや紫のネオンが煌々と灯り、そこに漆黒の闇というものはなくなったのですが、悪くない美的センスでまとめられており、これはこれでイケるものとなっています。

そして架空都市の見せ方も前二作とはかなり異なっています。

技術的な制約条件からか、前二作ではレトロな街並みをじっくりと眺めるという見せ方しかできなかったのですが、CGが爆発的な進化を遂げていた時期にあって、本作では激しいカメラワークでこれを捉え、街はテーマパークの如く躍動します。

そして同年の『ジャッジ・ドレッド』(1995年)もそうだったのですが、そうは言ってもCGが発展しきっていない時期だったのでミニチュアなども組み合わせる必要があり、その結果、他の時代には見られない独特の映像表現になっていることも味わい深く感じました。

知能指数は漫画レベル

お話はというと、バットマンに恨みを持つ二人のヴィランが協力してバットマンを倒そうとするというありがちなものでした。

バートン版では、ヴィランとバットマンの因縁をじっくりと描き、なぜ彼らが戦わねばならないのかという点をちゃんと考察していたのですが、本作ではその辺りの動機付けがかなり適当に流されています。

トゥーフェイスは元検事で、公判の最中にキングピンから硫酸を浴びせられてああなっちゃったということが手短に説明されます。

その時の危機をバットマンが救い切れなかったことから恨んでいるらしいのですが、本当に恨むべきはキングピンであって、バットマンからすればとばっちり以外の何ものでもないわけですが、とりあえずそういうことらしいです。

リドラーは元ウェイン・エンタープライズの社員で、開発したマインドコントロール装置を危険すぎるという理由でウェイン社長に却下されたことからウェインを恨み、その装置を使ってウェイン=バットマンであることを知ったことから、バットマンと敵対することになりました。

リドラーの方がまだ筋が通っているのですが、ジム・キャリーがはじけた演技をし過ぎてほとんど何言ってんだか分からないキャラになってしまったので、怨恨という線はほとんど見えてきません。

ヴィランというのはヒーローを憎むのが習性だろという、実に大胆な割り切りの元で作劇されているのです。

さすがにこれは大人の目には堪えませんね。しんどかったです。

彼らと対峙するバットマンもバットマンで、彼の戦う意義も深掘りされていません。

笑ったのは中盤の展開で、後述するチェイス博士(ニコール・キッドマン)との恋愛問題にカタがついたブルースは、もうバットマンをやめると言い出します。トゥーフェイス&リドラーとの戦いの最中で、依然として彼らがゴッサムに迷惑行為を働いているにも関わらずです。

女との問題さえ解決すれば投げ出せるほど、ヒーロー稼業は小さなものだったのかと。

その直後、ブルース=バットマンを知ったトゥーフェイス&リドラーに屋敷を襲われたので、ブルースは再度戦わざるを得なくなるのですが、ブルース的には終わった気になっていたというのが凄いなと思いました。

ちなみにシューマッカー監督は、ヒーロー活動のもたらす破壊がゴッサム市民から問題視され、戦いの意義を一時的に見失ったブルースが再起するという真っ当な話を考えていたらしいのですが、ワーナーから「そういうのは要らないから」と却下されたようです。

覆面を挟んだ三角関係

そんなわけでヒーローvsヴィランは超適当に流されたのですが、では一体何が本作のハイライトだったのかというと、覆面を挟んだ三角関係だったのではないでしょうか。

ニコール・キッドマン扮する心理学者チェイス博士がバットマンに惚れており、でも素顔のブルースはチェイス博士に惚れているという構図が置かれており、前述した通り、この関係性がブルースのやる気にもつながっていました。

これが面白ければ映画も一本筋が通ったものとなったはずなのですが、全然ダメだったので建物の大黒柱がポキッと折れた感じになっていますね。

何がダメって、チェイス博士の行動が滅茶苦茶なんですよ。

バットシグナルが出たのでバットマンが駆けつけると、そこには胸元がざっくりあいた服を着たチェイス博士の姿が。

別に事件は起こってないんだけど、あなたに会いたいので呼んじゃったと言い、エロイ恰好でバットマンを誘惑します。

また別の場面では、事件現場で再開したバットマンに「深夜0時に私の家に来て」と言って誘います。これもまた物凄い誘惑ですよ。

で、バットマンがお誘い通りに来たら来たで、実は別に好きな人がいるのであなたとはできないわと言って断ってきます。どうせぇっちゅーねんと。

ここで言う意中の人とはブルースであり、バットマン=ブルースだから結果オーライだったものの、深夜にうちに来てと誘っておいて、別に好きな人がいると言って断るというのは、普通はあり得ませんよね。

彼女のやってることはほとんどヴィランの行動なんです。

なお、シューマッカー監督はニコール・キッドマンの役柄をポイズン・アイビーにしたいと考えていたようなのですが、ヴィランがあまりに多すぎるとの判断から、チェイス博士になったのだとか。

本来は妖艶系ヴィランにとらせるべき行動を正義の側の一般人に当てはめてしまったものだから、話に無理が生じています。

≪バットマン シリーズ≫
バットマン_狂人がヒーロー【7点/10点満点中】
バットマン リターンズ_暗い・悲しい・切ない【8点/10点満点中】
バットマン フォーエヴァー_良くも悪くも漫画【5点/10点満点中】
バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲_子供騙しにもなっていない【2点/10点満点中】
バットマン ビギンズ_やたら説得力がある【7点/10点満点中】
ダークナイト_正義で悪は根絶できない【8点/10点満点中】
ダークナイト ライジング_ツッコミどころ満載【6点/10点満点中】
バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生_話が分かりづらい【5点/10点満点中】
バットマンvsスーパーマン アルティメット_断然面白くなった【7点/10点満点中】
ジャスティス・リーグ_ドラマの流れが悪い【6点/10点満点中】
ジャスティス・リーグ: ザック・スナイダーカット_頑張れ!ステッペンウルフ【8点/10点満点中】

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