ダブル/フェイス_55歳のジーナ・ガーションには厳しい役【4点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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サイコパス

(2017年 カナダ)
多分つまらないだろうなと思って観たら、その通りにつまらなかった映画。特に山場もなくダラダラと展開するサスペンスだし、情報整理のまずさからか、さして難しい話でもないのに分かりづらい部分があったりと、ロクな精査を受けずに通ってしまった企画のように感じました。

あらすじ

医師のアンジェラ(ジーナ・ガーション)は、夫のブライアン(ニコラス・ケイジ)、一人娘のコーラと共に裕福な生活を送っていた。ある日、アンジェラはシングルマザー・ケイティ(ニッキー・ウィーラン)と公園で出会って意気投合。夫のDVから逃れてモーテルで暮らしているケイティとその娘マディを不憫に思ったアンジェラは、ベビーシッターとして住み込みで働くことをケイティに提案し、二つの家族の共同生活が始まる。

スタッフ・キャスト

監督は実業家のジョナサン・ベイカー

監督としてクレジットされているジョナサン・ベイカーなる人物は初めてお見掛けしたのですが、映画界での経歴らしきものはあまりないようでした。

ベイカーが経営するベイカー・エンターテイメントという会社のHPによると、彼は作家、プロデューサー、監督、冒険家であり、アーネスト・ヘミングウェイのような偉人からインスピレーションを得たそうです。

ベイカー・エンターテイメントはパラマウント・スタジオ内に設立されたマルチメディア制作会社であり、それとは別にホテルを経営していたり、個人消費者向けのアロマテラピーやメンズカジュアルも手掛けているようです。

こうして列挙するといろいろと怪しい人物という感じですが、かつてウォーレン・ビーティが居住していた家を保有しているなど、本当に金は持っているようです。

本作は、映画監督になりたかった金持ちが道楽で作ったような映画なのでしょう。

(参考URL:https://www.bakerentertainmentgroup.com/

『フェイス/オフ』(1997年)のコンビが主演

本作の主演はジーナ・ガーションとニコラス・ケイジ。

ジーナ・ガーションは1962年LA出身。1980年代後半から映画で良く見る顔になり、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の『レッドブル』(1988年)でのマフィアの愛人役、スティーヴン・セガール主演の『アウト・フォー・ジャスティス』(1991年)での犯罪者の妹役、ポール・ヴァーホーベン監督の『ショーガール』(1995年)でのトップレスダンサー役など、実に味のあるキャリアを重ねてきました。

代表作はウォシャウスキー兄弟の監督デビュー作『バウンド』(1996年)であり、レズビアンの女泥棒役を実に男前に演じていました。

ニコラス・ケイジは1964年カリフォルニア州出身。華麗なるコッポラ一族の出身なのですが、ハリウッド界隈でコッポラを名乗っていると偉大なる叔父フランシスに関する話ばかりをされるので嫌気がさし、大好きなコミックヒーロー「ルーク・ケイジ」の姓を名乗るようになりました。

80年代から90年代前半にかけては曲者俳優として名を馳せ、アルコールに溺れて死のうとする脚本家を演じた『リービング・ラスベガス』(1995年)でアカデミー主演男優賞受賞。

しかしその後は演技を極める道を選択せず、『ザ・ロック』(1996年)『コン・エアー』(1997年)『60セカンズ』(2000年)などジェリー・ブラッカイマー製作のブロックバスター映画に次々と主演してスター俳優となりました。

ガーションとケイジは『フェイス/オフ』(1997年)で共演。国際テロリストとその内縁の妻という役柄でしたが、それから20年の時を経た本作で再び幼い子供を持つ夫婦役を演じることになろうとは、世界中の誰も予想だにしていなかったでしょう。

共演はオーストラリアのモデル・ニッキー・ウィーラン

そんなガーション&ケイジ夫妻の代理母役を演じるのは、オーストリア出身のモデルであるニッキー・ウィーラン。

1981年ビクトリア出身。モデル出身ということで目を引くような美貌の持ち主であり、2010年頃からアメリカで女優の仕事を開始しています。

特にニコラス・ケイジとの共演作が目立ち、「キリスト教を信じていない奴は死ぬ」というキリスト教右派によるトンデモ宗教映画『レフト・ビハインド』(2014年)、ポール・シュレイダー監督、ウィレム・デフォー共演の『ドッグ・イート・ドッグ』(2016年)にも出演しています。

ニッキー・ウィーランは本作最大の収穫
https://www.imdb.com/title/tt3481634/mediaviewer/rm121131008?ref_=tt_mv_prev

登場人物

  • アンジェラ(ジーナ・ガーション):育休中の医師。卵子提供で授かった娘コーラと、夫ブライアンと共に豪邸に住んでいる。第二子を授かるべく代理母出産を計画している。
  • ブライアン(ニコラス・ケイジ):アンジェラの夫。大家族を望んでおり、子供を持つために卵子提供などの方法を積極的に検討している。気付くべきことに気付かないという鈍感さの持ち主でもある。
  • ケイティ(ニッキー・ウィーラン):DV夫から逃げているシングルマザーであり、娘マディとモーテル暮らしをしている。彼女を気に入ったアンジェラからの提案でベビーシッターとしてアンジェラとブライアンの豪邸に住み込むことになり、その後、第二子の代理母も依頼される。
  • ドナ(フェイ・ダナウェイ):ブライアンの実母。根拠はないがケイティの人柄を疑っている。
  • リンダ(ナタリー・エヴァ・マリー):アンジェラのトレーナー兼友人であり、ケイティの恋人。アンジェラにケイティを紹介した。

感想

全然生かされていない豪華キャスト

本作の主演はジーナ・ガーションで、その夫役がニコラス・ケイジ、義母役がフェイ・ダナウェイ。往年の有名俳優を3人も揃えており、そのうちケイジとダナウェイはオスカー受賞者でもあるというなかなか頑張ったキャスティングとなっています。

ただ残念なことに、彼らの存在感や演技力はほとんど作品に反映されていません。出演者の持ち味を生かせる見せ場が未整備なのです。

特にニコラス・ケイジはB級映画でも手を抜くことがなく、場面さえ準備すればいまだに良い演技を披露する人なので、本作の監督がケイジを有効活用できなかったことは残念でした。

またジーナ・ガーションの設定年齢と実年齢の差が厳しすぎましたね。彼女は本作製作時点で55歳。年齢不相応の美貌を保っているとは言え、ものには限度というものがあります。

孫が居たっておかしくない実年齢のガーションが、幼い子供を抱え、第二子出産を真剣に考えているアンジェラ役を演じるのは厳しすぎました。

『フェイス/オフ』(1997年)で演じていた頃が丁度良かった母親役を、20年後に演じるわけですから。

相手役となるニッキー・ウィーランとの見た目の差も厳しく、二人をママ友と言われても違和感しかありませんでした。

盛り上がりに欠けるサスペンス

内容は、困ってるママ友ケイティを家に上げたら、徐々にその魂胆が見えてくるというドメスティックサスペンス。

ケイティは家族に取り入っていき、「あいつはおかしい」と騒ぐアンジェラが異常者扱いを受けるという不条理劇の要素もトッピングされています。

そうした作品全体が目指すものこそ理解できるものの、脚本や演出が小慣れていないので山場などをうまく作ることができておらず、意外性の連続で観客を未知の領域に連れ出すというサスペンス映画の醍醐味を味わうことができません。

鑑賞中、何度も寝落ちしかけるほど退屈な映画でした。

非常に分かり辛い設定 ※ネタバレあり

そんな演出面のまずさに加えて、情報整理がうまくいっていないので基礎情報が頭に入ってきづらい点もマイナスでした。

本作には卵子提供と代理母出産という二つのテーマが走っており、そのことが内容をかなり複雑にしています。

アンジェラが第一子コーラを設けた際には、卵子提供を受けた上でアンジェラ自身が妊娠して出産しました。

それが第二子を設ける際には卵子提供を受けた上で代理母出産を選択することとなります。この前提の違いが本編にかなり影響を与えているのですが、両者が分かりやすい形で区分されていないので、話が分かり辛くなっています。

ケイティ側の設定も同じく。マディはケイティ自身が出産した娘ではなく、彼女の卵子提供を受けた別の女性が出産した子供を、殺人を犯してまで奪って我が子としたものでした。

そしてコーラはケイティの卵子提供を受けたアンジェラが出産した子供なので、ケイティ理論で言うとどんな手段を使ってでも取り返すべき我が子ということになります。

この設定がうまく伝わっていれば、いつアンジェラやブライアンがケイティに殺されるかというサスペンスが盛り上がったところなのですが、情報の整理が下手くそなのでこの構図がすっと頭に入ってきませんでした。

さらに、アンジェラの第二子代理母出産までを絡めるので余計に視点が分散しています。

この代理母出産も込み入っており、ケイティが提供した卵子を、それがケイティのものだと知らずにアンジェラが使用。

ただし今回は代理母出産をすることとし、当のケイティに代理母を依頼したので、ケイティから提供された卵子が巡り巡ってケイティのお腹に帰ってきて、いろいろあったが最終的にはケイティがブライアンとの子供を妊娠しただけということになっています。

ここから、ケイティがアンジェラから夫ブライアンまでを奪おうとする話にまで発展してくるのですが、これまた情報のまとめ方が下手くそなので観客にその構図を伝えきれていません。

テーマを卵子提供に絞り、ドナーの母親が子供を奪いにくる話にしていればまだ通りが良かったのですが、代理母出産を絡めたために混乱が生じています。

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