コード211_ドラマは支離滅裂だがアクションはイケる【6点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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(2018年 アメリカ)
ニコラス・ケイジ主演のVシネですが、銃撃戦にはなかなか気合が入っていて見応えがあります。群像劇を志向しつつも完全に失敗したドラマの出来がかなり足を引っ張っているのですが、90分未満の映画なので見せ場の迫力だけで何とか持ち堪えており、見る価値はあります。

あらすじ

マサチューセッツ州の警察官であるマイク(ニコラス・ケイジ)とスティーヴ(ドウェイン・キャメロン)は、パトロール中に怪しい車を発見する。それは銀行強盗の車であり、アサルトライフルと2000発の弾丸で武装していた強盗は、マイクとスティーヴに対して激しい銃撃を開始する。

作品概要

ノースハリウッド銀行強盗事件とは

本作は1997年にLAで発生したノースハリウッド銀行強盗事件をモチーフにしています。

1997年2月28日、ラリー・ユージン・フィリップスJr.とエミール・デクバル・マタサレヌが銀行強盗計画を実行。逃走用のハイウェイが近い上に、最寄りの警察署からパトカーが到着するまで8分かかることからバンク・オブ・アメリカノースハリウッド支店を狙ったのですが、銀行に押し入ろうとするところを偶然にもパトロール警官に目撃されていたことから、彼らの目論見は崩れました。

銀行を出ると50名以上の警察官に取り囲まれており、焦った二人は警察官に向けて銃を乱射。二人はアサルトライフルと2000発もの弾を装備していたことから、44分に渡るアメリカ史上最大の銃撃戦となりました。

弾が尽きたところでフィリップスは自殺、マタサレヌは足を撃たれた後に投降したものの、出血多量で死亡。この事件がきっかけでアメリカの警察ではパトロールライフルの標準装備化が広がっていきました。

コリン・ファレル主演の『S.W.A.T.』(2003年)の冒頭は、この事件を再現したものです。

登場人物

  • マイク・チャンドラー(ニコラス・ケイジ):晩年ヒラのパトロール警官。かつて、末期がんの妻の看病から逃げ出したために娘リサとの関係は悪くなっており、妻を亡くした後は一人暮らしをしている。
  • スティーヴ・マカヴォイ(ドウェイン・キャメロン):マイクの相棒の警官で、義理の息子。リサと違ってマイクに対する悪感情はなく、かつて奥さんの看病から逃げたことも「愛する人が弱っていく様を見ていられなかったのではないか」と肯定的に評価している。
  • リサ・マカヴォイ(ソフィー・スケルトン):マイクの娘でスティーヴの妻。スティーヴとの間に子供を妊娠中。母の看病から逃げたマイクを許していない。
  • ケニー(マイケル・レイニー・ジュニア):地元の高校生。いじめられっ子ではあるが、反撃した瞬間を運悪く教師に見られてしまい、被害者のはずが罰を受けることとなった。その内容とはパトカーに半日乗車して犯罪現場を観察するというものであり、マイクとスティーヴのパトカーに乗車することとなった。

感想

アクション場面は大健闘

冒頭、アフガニスタンで何やら訳アリの事業家を傭兵がいきなり襲うのですが、派手な銃撃&爆破が炸裂するこの場面はなかなかの迫力であり、かつ、傭兵達が異様に強い奴らだということがよく伝わってきて、ツカミとしては上々でした。

どうやらこの傭兵達は事業家からの報酬を受け取り損ねていたらしく、事ここに至っても金を払おうとしない事業家を殺害。今度はこの事業家が金を預けている銀行に押し入って、本来受け取るべきだった報酬を無理やりにでも得ようとします。

ここから舞台はマサチューセッツ州に移り、ニコラス・ケイジ扮する万年ヒラ警官のマイク・チャンドラーがこの人間凶器達に立ち向かうこととなるのですが、2000発の弾丸で武装した特殊部隊上がりが田舎町で大暴れする様にはやはり迫力があり、アクション映画として実に見応えがありました。

演技派ニコラス・ケイジを堪能しましょう

今やVシネ俳優と化したニコラス・ケイジですが、80年代後半から90年代前半にかけては演技派として名を馳せた俳優であり、『リービング・ラスベガス』(1995年)ではアカデミー主演男優賞を受賞しています。その演技力の片鱗は本作からも伺えます。

ハイライトは終盤にて上司に状況報告する場面。発生当初から強盗事件に立ち会っているマイクは上司から責められる立場だったのですが、被害報告をする際に相棒であり娘婿でもあるスティーヴが重症を負ったという情報で激昂し、なぜ本体の到着がこんなに遅れたのか、部下を亡くしているのに一体何をしていたんだと、逆に上司を怒鳴り始めます。

この場面での感情のスイッチの入り方、今までは現場対応に必死で気付かなかったが、よくよく考えてみればなぜ俺と相棒は孤立無援の状況に置かれていたのかと、客観視し始めて怒りに火が点き始める様にはなかなか激しいものがありました。

ドラマが支離滅裂

そんなわけで見るべきもののある映画ではあるのですが、首を傾げざるを得ない部分もあって、決して良作とは言えません。

本作はピーター・バーグ監督の『パトリオット・デイ』(2016年)のような群像劇を志向しており、そのために多くのキャラクターが配置されているのですが、それぞれのドラマが深掘りされないうちに有耶無耶にされたり、気が付けば退場していたりと、群像劇としては完全に失敗しています。

例えばアフガンから傭兵を追ってきたインターポール捜査官。この人物が事件解決に向けて重要な役割を果たすのかと思いきや、最後まで何の役にも立たないので存在意義を失っていました。

他に、武闘派の女警官と、その後輩の頼りなさげな男性警官。男性警官の成長譚となり、最後には先輩である女警官の命を救うような一幕があって感動のフィナーレみたいな流れになるのかと思いきや、この二人が本編中でどこにいたのか分からないほど影が薄く、当然のことながら彼らのドラマにはオチが付いていません。

そして主人公マイクとその娘リサ。マイクは末期がんを患った妻が変わりゆく姿に耐えられずに看病から逃げだし、リサは母と自分の元を去った父マイクを許していません。本作は大事件を通して父娘が和解する物語になるのかと思いきや、途中でリサの存在感がほぼ消え去って親子のドラマも消滅し、クライマックスで何となく和解しているという、これまた座りの悪いことになっています。

ニコラス・ケイジ自身も本作を失敗作と見做しているようなのですが、確かにこのドラマの出来は酷いとしか言いようがありません。

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